レギュラスくんのことを知ってから、もう三年も経ってしまった。あの頃は見境なくいかがわしい言葉を躊躇いもなく言っていた私が、恋を知ったせいで人前では大人しくすることを覚えた。あくまで、「人前では」だが。それに最近、楽しみが一つ増えた。今日も授業後図書室に寄り、少し暗い隅の席にいつも座っているお目当ての人を探す。


「今日は早いね。」

「授業が早く終わったんです。」


いた。他愛もない会話をして隣に腰をおろす。学年が違う私たちだからこうして話せることだけでとても幸せだった。明日提出する課題の仕上げをしようと、レギュラスくんの隣に座って机に文具を広げる。いつも私はこうして「真面目なスリザリン生」を装っているが、たまにレギュラスくんには全て見透かされているような気がしてならない。


「あのさ、レギュラスくん。」

「今本を読んでいるんです。」


ここ分からないんだ、なんて本当にどちらが先輩か分からないことを言う。彼はため息こそつくが、その後は必ず丁寧に教えてくれるのだ。本当はその問題の解き方は知っていて、ただレギュラスくんの真剣な顔を私が見たいだけだとも知らずに。

「ですから…」

彼の顔が近くにある。さらさらなあの髪の毛が目の前にある。シャンプーの匂いに混ざって微かに香る汗の匂いに、やはり彼は男の子なんだと今更な認識をした。そして教え終わると、私を疑うような目で見てからにやりと笑うのだ。その笑顔がたまらなく私の胸を高まらせるから、私は幾度となく分からない問題を聞いた。


「レギュラスくん。」

「なんですか。また、」

僕のこと、至近距離から見ていたいですか?


甘く頭に響くその声に一瞬夢を見る。が、やはり目の前の男は余裕な表情を浮かべ私の言葉を待っているようだった。


「…うん。」

「いつから、ですか。」


いつから僕のこと見ていてくれたんですか、なんて聞かれて反射的に「入学式の日の君に一目惚れしたのよ」と答えてしまった。


「奇遇ですね。僕も三年間ずっと、」


あなたが、好きでした


そういう彼の声は至極甘ったるかったのに、表情はとてもつらそうだった。


止まらない運命に
もしあの時気持ちを伝えなかったら、きっと今の張り裂けるような胸の痛みはなかったのだろうか



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02110827
しゃっくりさんへ



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