親同士仲が良かったこともあり昔から私はよくマルフォイ家に遊びに行っていた。ドラコ君は本物のお兄さんみたいに優しくしてくれたし、その容姿はまるで王子様そのものだったから、きっと私の片思いはそこから既に始まっていたんだと思う。年上の彼を追いかけるようにここホグワーツに入学して、驚いた。彼は、私の知ってる『優しくて素敵な』男性ではなかったからである。

「おい、ポッター。」

彼は取り巻きと共にハリー・ポッターに近付き、悪口を言うのが日課になってるようだった。それは大広間だったり廊下だったりするもんだから、私じゃなくても学校中の誰もが知っていた。私に得意気に魔法を見せてくれたり、本を読んでくれたり、一緒に遊んでくれたドラコ君は、もうどこか遠くへ行ってしまったようだった。

スリザリン生に選ばれ初めて大広間のテーブルに着いたとき、ドラコ君は私を見て驚いたようだった。覚えててくれてるようだと分かっただけで嬉しくなって、ニコニコしてたらドラコ君の隣にいた先輩に睨み付けられた。私は彼女はドラコ君の彼女だと信じて疑わなかったし、ああいう、いかにもスリザリンみたいな人が好きなのかと同時にショックを受けたりもした。

それから、私はまず化粧を勉強した。パーティーの時にメイドが施してくれるように、見よう見まねで化粧をする。母親からプレゼントされた香水をほのかに香らせ、1年生らしい幼さを消して生活していくのに必死だった。いくら言葉が悪くても、優しいだけじゃなくてもドラコ君のことは好きだったし、恋人になれたらいいななどと淡い期待も持ったりもした。




「ドラコ先輩。」


今日のドラコ君は一人ぼっちで図書室にいた。話し掛けようか迷っていたがこんなチャンス滅多にないことだと腹をくくり、声をかけた。勿論、とても小さな声で、だ。

「なんだ、first nameか。」

ほっとしたような彼の表情に思わず昔を思い出す。隣の椅子に座ると、徐に彼は私の頬を撫でた。

「この間入学してきたと思ったのに、随分大人になったもんだな。」

「ドラコ先輩と二人並んでも可笑しくないかしら?」

その手に応えるように私の手を添え、彼の顔を見つめた。一瞬ぎくりとした表情を見せた彼から、答えはNOだと悟る。

「冗談です。ドラコ先輩には彼女がいますもんね。」

「彼女?なにを言ってるんだ?」

「あのおかっぱの綺麗な女の人、彼女じゃないんですか?」

パーキンソンのことか…と項垂れた彼は、あいつは彼女なんかじゃないと強く主張した。そして、自分には好きな人がいるけど見るみるうちに大人っぽくなってしまい、誰かに取られないかと心配しているという話も。

「それって…」
「それと、」

結論を急ぐ私の発言に重なるように彼は言った。

「僕はもう少し幼い子が好きだ。」

照れるようにそっぽを向いて出ていく彼に、いっそのことこのドキドキが伝わればいいのにと心のなかで思った。

つま先立ちの恋に慣れたら、

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20140411

ドラコのイメージはいつも年下なので、たまには年上を



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