「キス、しようか。」

ドラコは私の頬を軽くつかむと、そのまま貪るようにキスをした。しんと静まる彼の部屋には二人の荒い息遣いが響く。

「どうしたのよ、急に。」

ムードを大切にするロマンチストな彼らしからぬキスに、どうかしたのだろうかと問えば、別に…なんて素っ気無い返事が降ってきた。


「急いでるんだ。」

「なにが。」

「離れなきゃいけないから。」

頭に?マークを浮かべれば、もう本当に毒されるなんて呟いて。眉は弱く垂れ下がりながら吐き出すように好きだよ、と告げられた。

「全てが終わったら、また告白しに行くから。」

「ドラコ?言ってる意味が分からないんだけど…」

「今は分からなくていい。」

全てを知ったら、きっと君は離れていってしまうから。

「好きだよ、って言ってくれ。」


泣きそうな声を久しぶりに聞いた。私は背中をぽんぽんと軽く撫でながら、好き、好き、と呟く。何度も何度も呟くと満足したらしい彼は私から離れる。目は赤くなっていて、袖は濡れていた。

「出来れば、」

もうこのまま、first nameに染まりたい。
そう彼は言うと、すぐ戻ると言って彼は部屋を出た。

1時間経っても、1日経っても、1週間経っても、彼は学校に戻らなかった。


嘘吐き
闇に染まった彼の話


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20130314



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