...memo



2013/09/07 23:00
彼に似合うよう真っ黒に仕立てたタキシードを整えて、持っていくためにトランクに詰め込んだ。なんでも、明後日のパーティに着て行きたいらしい。お揃いで作った真っ黒のドレスは奥様に。ふんわりとした少し丈の長いチュールスカートが似合うだろうな、なんて考えて思わず嬉しくなる。喜んでくださるといいけど、と一抹の不安を抱えながら私はマルフォイ家へと向かった。



「まあ…!」

感嘆の声が響いて、私は思わず心の中でガッツポーズをする。奥様は気に入ってくれたようで、上品にまとめられたドレスを着て鏡の前で何度も見直していた。似合うだろうな、と前もって用意しておいたアクセサリーも渡せば、ありがとう!と素敵な笑顔で抱き着かれる。

「やっぱり#name2#に頼んで正解ね。あなたの作るドレスが一番だわ。」

鎖骨の上でキラキラ光るビジューネックレスはやっぱり奥様の肌に似合う。真っ白でキメの細かい肌と黒のドレスの対比も素敵だ。靴はどれがいいと思う?ヘッドドレスは?奥様と相談しながら決めていると、コンコンとノックの音が響いて、失礼するよと彼は入ってきた。

「見てみてルシウス!#name2#が仕立ててくれたドレスよ、素敵でしょう?」

「これはまた…黒のドレスはいくつも持っているいるが、これほど可愛らしいものは他にはないね。とても良く似合っているよ、ナルシッサ。」

彼に褒められて、奥様は今にも溶けてしまいそうなくらい幸せそうに笑った。ちくちくと胸が痛む気持ちを押さえて、私は笑顔を崩さない。

「私にもタキシードを仕立ててくれたんだって?」

「ええ、後程部屋に伺いますね。」

「そうしてくれ。君の作る服は着心地がよくて好きなんだ。楽しみにしているよ。」

パタン、と扉が閉まると奥様は嬉しそうに続きしましょう!と笑った。しかし時刻はもう夕方。いつもより遅い時間に来たためそろそろ帰ろうとその旨を伝えると、晩御飯も食べていってよと誘われてしまった。

「いいんですか?」

「ええ、勿論よ。あなたと一緒にディナーだなんて久しぶりだし楽しみだわ。」

ハウスエルフに伝えて、と部屋にいたお手伝いさんに頼み、私たちはまた続きを始めた。ルシウスさんと晩御飯だなんて、久しぶりだ。私は奥様との会話を続けながら、さっきのルシウスさんも優雅だったとか、格好よくてお洒落だったとか、そんなことばかり考えていた。


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