ざわつく酒場には特有の熱気が篭っている。豪快な笑い声、盃を交わす軽快な音、店員の慌ただしい足音。


「よう、お待たせ」


にへらと緩く笑った
両手に酒の並々入ったグラス、直角に曲げた腕に皿二枚のせたまま彼は片足を引っ掻けて椅子を引いた。


「お前は曲芸師か」

「あ、俺そっちの才能ある?やっぱ手に職あった方が便利だよなー。流石に賭けで稼いだ金で飲む酒は美味くないからさー」

「どの口が言ってるの、どの口が」


頭頂部は日に焼けて色が薄く、襟足に降りてくるに従って黒みが増してゆくサチの独特の髪は、彼が日光に愛されない北の凍土の生まれだということを暗示している。
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