still dreaming










錫也に抱きしめられて目覚める朝は、なんだかふわふわする。
柔らかい陽射しと、温かいぬくもり。
そして、私を見つめる甘く優しい錫也の表情…
私はまだ夢の中にいるのかな。


目をうっすら開けて錫也を見つめる。
すると私の視線に気づいたのか錫也も綿菓子みたいに甘く微笑んで、「お寝坊さん」て囁く。



お寝坊さんにもなるよ。
こんなに優しく抱きしめられてたら誰だって。
でもこのぬくもりは私だけのものだから、誰にもあげないけど。


錫也の胸の中に顔をうずめる。
すると鼻を錫也の匂いが掠めた。
大好きな匂い。
頬が思わず緩んでしまうような、春の陽だまりみたいに暖かい、優しくてあまーい匂い。
不意にぎゅうっと抱きしめられる腕が強くなる。
錫也がクスクス笑ってる。
私も一緒に笑う。



二人一緒にベッドの中で戯れてる時がしあわせ。
そういえば昨日は夜遅くまで頑張ってたからね。
ついつい次の日の朝は寝過ごしちゃうんだよ。
だから二人とも同罪。
そんなことを思っていたら、錫也が私の額に口付けていたずらっぽく笑った。



「なに考えてるの?」

「えー?錫也のことだよ?」

「本当?」

「本当だってばー」



何度も額に口付ける錫也。
私の頭の中の錫也にまで嫉妬してるのかなぁ。
今度は私がクスクス笑う番。

錫也の唇が私の身体に触れる。
額、頬、首筋、鎖骨…

同時にたくさんの箇所に触れてくる手。
その感触がくすぐったくて、私は身を捩る。
そんな私を見て錫也の行為は更に激しくなる。



「ん…錫也…」

「なぁに?」

「まだ、朝だよ…?」

「朝だって構わないよ」



名前を愛するのに時間なんて関係ないよ


錫也は耳元で甘く囁く。
その響きは私を溶かす。
頭のてっぺんから足の先まで、錫也以外考えられなくなる。



「ずるい…」



そんなこと言うの、反則だよ。
唇を尖らせてみるけれど、どうやら逆効果だったみたいで。
錫也はクスッと微笑んで、唇を寄せた。



「お前が可愛いのがいけない」

「錫也、理由になってないよ…?」

「そうかな?」

「錫也がそんなこと言うから、私、なんにもできない女の子になっちゃう」

「それでもいいよ」




名前は俺のことだけ考えてればいいんだから――。



まるで麻薬。
錫也の言葉は中毒性がある。
もう、錫也以外、考えられない…








そうして再びベッドに沈む私たち。
纏っていた服も脱ぎ捨てて、生まれたままの姿で互いを求め合う。


こんなにしあわせでいいのかな?
隣に大好きな人がいる、ただそれだけで、胸がいっぱいだよ。




私はきっとまだ夢の中。
夢でもいいよ。
夢でもいいから、どうか覚めないで……?

















































‥fin‥