I LOVE U
愛してる。 何度言っても言い足りないけど、私は錫也を…
I LOVE U
一日が終わる瞬間、それは今まで切ない時間だった。 なぜだかわからないけど、無性に寂しくなって、心にぽっかり穴が空いたようで。 明日なんかずっと来なくていいって思ってた。 だって明日も錫也が私を愛してくれる保証なんてどこにもなくて、ただただ不安だった。
『愛してる』とか『好き』とか、言葉では簡単に言えるけど、心も身体もその言葉だけでは満たしてくれない。 人は愛してしまったらどこまでも貪欲になる生き物だと思う。 錫也を信用してないわけじゃないけど… 私はいつも不安だった。
この不安は一生消えることがないのかな?
そう思っていたらある日突然錫也が私に言ったんだ。
「なぁ名前、お前は俺のこと、好きか?」
その表情は何か他に言いたげで、切なそうだった。
好きだよ錫也。 好き、好き、愛してるよ。
その想いがテレパシーのように簡単に届けばいいのに。 私は想いを届けるその術を知らない。 だからそれに近しい言葉を探して伝える。
「好きだよ」
それでも足りない。 この想いの名前を、私は知らないのだから。 錫也を想うと胸が苦しくて、きゅんと締め付けられるように痛くて、でもちょっぴり甘くて切ない。 ねぇ、どうすれば錫也に伝わるの?
「錫也が好き。好きだから苦しい。明日なんか来ないでほしい」
ずっと心にあった蟠りを打ち明ける。 すると錫也は私の身体をぎゅうっと抱きしめて言った。
「俺も名前が好きだ。好きで好きでしょうがなくて、不安なんだ」
「錫也も…?」
「ああ。いつか名前が俺を嫌いになってしまうんじゃないかって思うと、夜も眠れない」
「私も…」
なんでこんなに想いが通じ合ってるのに不安になるんだろう。 好きになればなるほど想いは深まるばかりで、底が見えない。 真っ暗な闇の中に溶け込んでいくようで、怖くて不安なんだ。 明日が見えない。 大好きな人の気持ちが見えない。 どんな言葉で表しても、本当に伝わることはない。 ねぇ どうしたらいいんだろう。
「でも名前、俺思うんだ」
「?」
「明日が来なければ、これからの俺たちの未来はないんだよ」
「…うん」
「俺の想いがどんなにお前に伝わらなくても、それでも俺は明日が来てほしい。明日の名前が見たい。笑った顔も、怒った顔も見たい。もっと好きだって言葉が聞きたいし、名前をもっと愛したい」
「錫也…」
「なぁ…俺、名前が好きだよ」
錫也がもう一度言った。 耳元で、囁くように、でも弱々しく。
だから私も精一杯の言葉を錫也に返す。
「私も錫也が好き。……愛してる…」
私は見つけた。 この世にただ一人、愛する人を。
その人と共にこれからを歩んでいきたい。 そう心から思えるの。
明日が来るのが怖くなくなったのはいつから?
― きっと錫也が不安を希望に変えてくれた、あの日から。
‥fin‥
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