君を愛するのに理由なんていらない。
昨夜の情事が激しかったためか、目が覚めたのは陽も高く上った真昼だった。 カーテン越しに入る光が眩しい。 ああ、完璧寝坊だ… 私は瞼を擦りながら背伸びをひとつした。 いつもならどんなに激しい情事だったとしても、私より早く起きて朝ご飯を用意してくれている錫也。 だが今日は私の隣でまだ気持ち良さそうに眠っている。
(錫也も疲れてるのかな?)
いつもついつい調子に乗って何回もしちゃう私たち。 勿論私は「もうだめ」って言ってるのに、洞察力の優れている錫也は私のほんの少しの“その気”を見逃さない。 掠れた声で錫也に「まだ足りない」て言われると途端にノーと言えなくなってしまう。 どうやら私も錫也には甘いらしい。
まぁそんなことはともかく。 いつも早起きの錫也が今日はお寝坊のようだ。 私はちょっと優越感に浸る。 そして錫也の頬をツンツンしたりして遊んでいた。
「錫也」
「ん…名前…?」
「おはよ」
「あぁ おはよう」
寝ぼけ眼で返事をする錫也が可愛らしい。 胸がきゅんと狭くなる。
「もうお昼だよ?錫也も昨日は疲れたんだ?」
「だってお前が可愛いから。もっとシたくなるんだ」
「そういうのは本人の前で言わないでください」
「事実だろ?」
ごそごそと布団の中で戯れ合う私たち。 ぎゅっと抱き締めたり互いのおでこや頬にキスをしたり。 実は最中よりもこういう時間の方が幸せだったりする。 …錫也には内緒だけど。
でも次第に戯れ合いは激しくなっていき、布団の中で錫也は私に跨がってきた。 視点を変えて言えば押し倒された状態ね。
見慣れているはずの錫也の顔も、この時はドキドキする。
「錫也…」
「なぁ… 今からお前を感じたい。いいか?」
「えっ!ちょっとー 昨日も散々ヤったよね?」
「昨日は昨日。今日は今日だよ」
「それ言い訳…っ!」
私が反論しようとする言葉を呑み込むように激しい口づけをされた。 おかげで思考はショート寸前だ。
荒くなる呼吸に耐えながら、私は最後の抗議を涙目で錫也にする。 しかしどうやら無意味だったようだ。 錫也は艶やかに微笑み、私の耳元で甘く囁く。
「好きすぎるから欲しくなるんだ。今すごくお前を感じたい。お前の中、俺でいっぱいにしたい」
-- いい?
耳元で囁かれ、身体中がぞくぞくした。 歓喜に震えるってやつ? 私の身体は錫也によって開発されてるから、そんな台詞言われたらいやでも期待してしまう。
わかっててやってる錫也は本当に質が悪い。
「まだお昼だよ?」
私の問いかけに錫也はフッと笑って答えた。
(真昼だって構わない。)
-- お前を愛する時間は、俺の最高にして最上級の至福の時…
‥fin‥
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