LOVE BEAM☆


















「不二先輩!!好きです!!」


今日、あたしは思いきって告白した。
お昼休み、先輩の教室に行って。

先輩含め、周りにいた誰もが箸を置いて、あたしを見た。そして時が止まった。(固まった、の方が表現正しいかも)


「不二先輩が!!好きです!!!!!」


もう一度言う。
不二先輩が目を丸めて驚いてる。


「えっと…君は…」


-- キーンコーン カーンコーン


先輩が何か言いかけたところでちょうど予鈴のチャイムが鳴った。
あたしは急いで自分の教室に戻るため来た道を走った。











「あんた、ほんとに告白してきたの!?」


友達がびっくりして教科書落としてた。
あたしは「うん♪」と言って満面の笑み。


「だって今日があたしのラッキーデイなんでしょ?」

「ラッキーデイ、にはかわりないけど……、でもこれふつーに雑誌の付録の占いだからね!?ちょっと星座占いが詳しくなっちゃったって感じのやつだからね!?」

「でも不二由美子先生監修のやつでしょ〜?絶対当たるからね!!大丈夫!」


妙な自信。どこからくるのやら。
あたしは次の移動教室に行こうとする。

するとあれ?
見慣れない先輩方があたしを見ている。
クスクス笑ってる。

あたしを見て手招き。


「うわ〜…早速呼び出しされたのあんた」

「へ?呼び出し?」

「私 先行ってるからね〜」


ま、頑張って。
という友達の言葉を受け、あたしはキレーな女の先輩(複数)の元へと行く。

そしてなんだか人気の少ない裏校舎へと案内された。
あ、なんだか嫌な予感。
















「あの〜、何の用でしょう?」


あたしが尋ねると。
キレーなお姉さん@があたしの足を踏んだ。


「いだっ!!」



何するんだよ!



「あんたさぁー 身の程知らずもいいとこだよね」

「はぁ」

「不二くんに告るなんて10年早いっての」

「はぁ」

「生意気なんだよ」


キレーなお姉さんAが腕組みしてあたしを見る。
顔をガン見された後、思い切り笑われた。


「ほんと、自分の顔鏡でよぉく見てみな」

「不二くんと釣り合うわけないじゃん、ねぇー!」


あ、これはもしや、嫌な予感的中?


つかこのキレーなお姉さんは3人いるんですけど。
3人目がどうやらボスっぽい。
ずーっと偉そうに腕組みしてあたしを黙って見てる。
ふわふわの長い髪、可愛いぱっちりお目めと、キツイ香水の匂い。
はっきり言って、くせぇ。


「こんな子が私たちの不二くんに告白するなんて信じらんない」


キレーなお姉さんBが遂に口を開いた。

さっきから黙って聞いてりゃなんだ。
好き勝手言いやがって。
あたしはふるふると怒りが込み上げてきた。

あ、あたし、普段は凄く温厚なのよ?


「ほんと、あんたみたいなのウザイ」


-- プチッ


あたしの中で何かが、キレた。












「ウザイのはどっちだっ!!バーロー!!!!!!!」







ここからあたしのマシンガン罵倒が続く。
暫しお付き合いくださいませ。




「さっきから黙って聞いてりゃなんだ!?身の程知らずとか不二先輩に告るのは10年早いとか!!好きな人に告白するのにわざわざ資格なんているんか!?いらねーだろっ!それに10年早いって、10年経った後に告白しても意味ねーだろ!!先輩たちはバカですか?あと人の顔見て笑うのは失礼です!!確かに先輩たちはキレーですけど典型的な性格ブスですね!あんたたちは不二先輩のこと好きなのに先輩に好きって言えない臆病者だ!!弱虫だ!!」





一通り言いたいこと言うとキレーなお姉さんB(ボス的な人)が顔を真っ赤にしてあたしの胸ぐらを掴んだ。





「っ!!あんたに私の気持ちがわかってたまるか!!」

「ああ!わかんないね!多分一生わかんないね!」

「っムカつく!」






-- パシンッ!!






渇いた音が響く。
キレーなお姉さんBがあたしの頬をひっぱたいたのだ。


「もう二度と不二くんに会えないようにぐちゃぐちゃにしてやる!」


ちょっ、それ犯罪でしょ。

先輩たちの顔がマジになった時。



「そこまでだよ」



好きな人の、声がした。


一斉に振り返ると。
そこにはめちゃくちゃ笑顔の不二先輩がいた。
笑顔過ぎて逆に怖い。


「ふ、不二くん」


キレーな先輩方の顔色が途端に真っ青になる。


「君たち、その子から退いてくれるかな」


開眼して先輩方を見る。
悔しそうに唇を噛むキレーなお姉さんたちは逃げるように駆け足でその場を去ろうとした。


「あ、そうそう」


不二先輩が思い出したかのように呟く。


「君たち、今後一切僕の視界に入らないようにしてね。じゃないと気分悪いから」












「大丈夫?」


不二先輩があたしの頬を触る。
心配そうに見つめるその瞳はさっきの怖ーい雰囲気は全くなく。
拍子抜けしてしまうほどだった。


「え、あ、はい」

「ごめんね。助けに入るのが遅くなって」

「………」

「実は最初から見てたんだけど、君の反撃が面白くてつい…」

「………」


…………?
え、先輩最初から見てたの?


「君みたいな子初めてだよ。彼女たちに歯向かったの凄かったね。なかなか面白くて目が離せなくて見いっちゃってたら助けるタイミング失っちゃって」


え…?


「でもすっきりしたなー。ありがとう」

「あ、いえ、どういたしまして…」


なんかおかしくないか?




「あの、先輩、」

「ん?」

「あたし、そろそろ移動教室行かないと」

「ああ」


にこにこ にこにこ。


「僕、君のこと気に入っちゃった」

「えっ!?」

「今度は僕が君のハート捕まえる番だね」

「えっ、えーーっ!?」

「覚悟してね」






あたしはどうやらとんでもない人のハートを射止めてしまったのかもしれません。

とりあえず、次の授業の遅刻は決定です…。


















‥fin‥