どうして好きなんだろう









僕たちが初めて出会ったのはまだお互い小学生の時だったね。
その時そのまま二人別々の道を歩んでいたら、今こんなに苦しい想いしてなかったのかな。



この間偶然街で君を見かけた。
幸せそうに笑う君の隣には、今君を大切にしている彼がいた。
何年か前までそのポジションは僕のだったのに、と二人を見て苦笑した。
心の中、ぽっかり穴が空いたように寂しい。
別れを切り出したのは僕の方なのに。
今更それが寂しいだなんて…
僕はなんて女々しいのだろう。



君と出会って君と恋に落ちた。
きっと全部が最初から決まってたんだね。
出会いの瞬間に別れの瞬間…
そして繰り返す運命の再会。
いつだって唐突で予告もなくて、まるでドラマみたく甘く切ない。
そんな日々を過ごすけれど、
本当言うと迷ってばかりで苦しい。


初めて君に会って、初めて気づいたよこれが恋だって。
だけどこの恋はcrossing love
それぞれの恋がもう既に存在してた。
上手くいくはずないのに引き寄せられた僕ら。
どんなに求め合ったって、いつか…「さよなら」をいう日が来る。



「なまえ…」



彼女の名前を口にすると、なんだか懐かしい感じがした。
人混みに消えていく彼女を僕はただ見つめることしかできなかった。



ねぇ どうして神様
こんな苦しい想いするなら
いっそ最初から引き合わせないでほしい…
あと少しでも早く君と出会ってたら?
きっと何かが少し変わってたかな?
もうずっと、ずっと君のことが頭の中から離れないよ。



忘れられない…
君を想わずにはいられない。



時間が経っても君のことで頭も胸もいっぱいで。
無理して笑っても
忘れることができない。
君の名前、君のメール、君の全部を、消すことができない…



本当に、僕は君が好きだったんだ。
この気持ちは本当。
嘘じゃない。
でも君はもう新しい道を歩んでいる。
僕ではない、他の人と…。




「好きだったよ…なまえ。誰よりも…」





僕の小さな呟きが、まるで都会の人混みに紛れるように消えていった。
もう君の後ろ姿さえ探すことができない。
時間だけが通り過ぎていく。
僕は一人空を見上げて瞳をゆっくりと閉じた――…。






ねぇどうして
君のこと いつまでも好きなんだろう…



















‥fin‥