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----朱雨side


あのあと、キルアに何かを言われた。
メンチさんに何かを言われた。

空からネテロ会長が降ってきた。
飛行船に乗せられた。


・・・よく覚えていない。
覚えているのは、夕雨の視線が私から離れなかったことだけ。

あとは全部、靄がかかったようにぼんやりとしか思い出せない。


気がついたら、キルア達が崖に飛び降りていた。



「お姉ちゃん・・・行かないの?」


どこか心配そうな夕雨の視線と声。
それに意識が揺さ振られる。

・・・目が覚めた、そんな気がした。


「・・・夕雨は?」

「さっきので合格もらったから行かなくていいって」

「そっか・・・じゃあ行ってくる」



崖を見下ろすと、自分でも邪魔だと思うほど長い髪が風に舞った。

切るのも結ぶのも面倒だから放置してたけど、さすがにこのまま崖を降りるわけにもいかないし。

今この場で切るわけにもいかないから、とりあえず腕につけてあった髪ゴムで適当に一つにくくった。



「じゃあ、行ってくる」


とんっ、と足場を蹴って崖に飛び降りた。

落ちた先の糸に着地する。


「シュウ!?」


そしたら何故か偶然ゴンの目の前の糸に降りていたらしい。

かなり驚かれた。


「シュウ、おまっ・・・」

何やら側にいたキルアが焦ってる。
珍しいこともあるもんだ。

ん?クラピカちょっと顔赤い?
よく見ればキルアだって赤くなってるし。

何故?


・・・レオリオを見てはっきりした。



「あー・・・大丈夫、下にショートパンツ穿いてるから」


ワンピース脱いでも私服で通用する恰好だから、私。


「チッ、残念だな」

「どうぞ何とでも」


唯一表情がニヤニヤしていたレオリオに残念がられた。
馬鹿じゃないの。

そう、さっきまで気づかなかったけど、髪と一緒にワンピースもかなり風に舞い上がっていた。

だからキルアとクラピカが赤くなってたらしい。
なんて純粋な。

もっと純粋なゴンは、そこにすら目がいかなかったらしく、今さら慌てていた。



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