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----朱雨side


騒がしい。
何だろう、煩いなぁ。
寝かせてよ。


目を開いた。

・・・ん?
ああ、試験が終わったんだ。
だからこんなに騒がしいのか。

絶をしたまま立ち上がり、夕雨のところまで人を避けながら行く。

夕雨はこっち見てなんだか呆れたような目をしてたけど、多分他の人には気付かれてないと思う。



「とても、ハイそうですかと帰る気にはならねェな」


・・・この人がトードーね。


「・・・夕雨受かったの?」


こっそり夕雨に声をかける。

やっぱり誰も気付かない。
隣にいるキルアも気付いてない。
まあ、滅多にイルミとかヒソカにも気付かれないし、無理ないけど。


夕雨は頷いた。

すごいな、私と違って夕雨は。




「だいたい、その餓鬼が受かったってのもなんか怪しいじゃねェか」


・・・今、何て言った?


周りの受験生達の視線が、私の隣に集まる。

「おかしくねえか?あんだけ合格者がでなかったのに、何でこの餓鬼は合格なんだ?しかもこいつが合格したのを見た奴はいねェだろ?」


・・・ふざけんな。
何言ってるんだよ。
何の権利があったそんなこと言うんだよ。
ふざけんな、ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな!!


「この子は合格よ。誰がなんと言おうとそれは変わらないわ」

「なんだとっ!?」


メンチさんに殴りかかろうとしたトードーは、呆気なく後ろに吹っ飛んだ。


「お姉ちゃん?」

「シュウ!?お前何やってんだよ。つーかいつからそこにいた?」

「・・・お姉ちゃんはさっきからそこにいたけど」

「はぁ!?嘘だろ!?」


夕雨とキルアの話してる声も耳に入らなかった。

今見えてるのは、私が吹っ飛ばしたトードーだけ。


絶をといて、ゆっくりトードーに近づいて、トードーにだけ聞こえるように吐き捨てた。


「・・・あんたなんかに夕雨の何がわかる」


踵を返して夕雨のところまで戻る。
絶をしていて気付かれていなかったせいか、それとも素手で体格差のあるトードーを吹っ飛ばしたせいなのか、周りの視線が痛かった。

・・・落ち着け、私。
ここで冷静さを失っても何もならない。



・・・ああ、目立ってしまった。


ふっと、そう思った。




(6/6)

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