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2人と別れた私は、火を起こすために枯れ葉や枝を集めていた。
「えっと・・・この枝をこーして・・・よし、これで大丈夫かな」
組み合わせた枝と枯れ葉に火をつけようとした時。
人の気配がした。
隠すつもりがないんだろう、複数の恐らく男が私の方に向かってくる。
・・・面倒なことになりそうだ。
「おうおう嬢ちゃん。こんなとこで何やってんのかなー?」
「あれ、豚狩るのは諦めちゃったのー?」
「じゃあお兄さん達と遊ぼうぜ?」
予想通りすぎて呆れる。
ていうか、この人達もグレイトスタンプ諦めたんだろうな。
「・・・何するの?」
とりあえず大人しくしておこう。
目立ちたくない。
「俺らに着いてくればわかるよ」
「きっと楽しいぜ?」
・・・うわムカつく。
あと多分こいつら、私のこと16歳だってわかってない。
わかってたらこんな言い方しないだろうし。
ていうか3対1って卑怯だよね。
絶対私の方が強いけど。
・・・ここはごまかそう。
演技は得意だ。
「え、でもね。ここで待ってろ、って・・・」
子供っぽく無垢で無知な女の子。
きっと男達にはそう見えただろう。
「・・・面倒だな」
だったらさっさとやめればいいじゃん。
私は見返りなしにそんなことする人間じゃないんだから。
「来いよ」
グイっと引っ張られる。
強引。最低だね、人間として。
・・・私が言えたことじゃあないけど。
「嫌っ!」
怖がるフリ。
抵抗するフリ。
少し力をいれて振り払ったら、きっとこいつ吹っ飛んでくし。
「ほら抵抗するなって」
「嫌ぁあ!!」
泣くフリ。
ああ、疲れる。
早く諦めてよ。
私が振り払ってしまう前に。
「・・・おい」
「・・・キ、ルア?」
声に振り返る。
さすが、気配隠すの上手いな。
「なんだ坊主、向こう行けよ邪魔だよ」
「た、助けてっ」
演技続行。
そんな冷たい目で見ないでよキルア。
これ、不可抗力だから。
「・・・そいつ離せ」
「はあ?ガキごときが何言って・・・」
「離せ」
・・・すごい殺気。
男達、青ざめてるよ。
「・・・チッ」
やっといなくなった。
「ありがと、キルア」
「・・・お前さ、何演技してんの?」
「いやだって目立ちたくなかったし」
豚とって来てくれてありがとう。
今から火、おこすね。