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----朱雨side
ひんやりとする程度の、正直生温い殺気をスルーして、番号札を受け取った。
案の定というか何と言うか、私の番号は100番だった。
夕雨が101番で、キルアは原作通りに99番。
・・・試験開始までは、まだまだ時間がありそうだ。
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ところで、私達・・・私と夕雨は決めていることがある。
それは、“自分の意思で行動する”ということ。
原作だろうがなんだろうが、正直私達には関係ない。
というより、私達が今ここにいる時点で原作通りじゃないし、私達は私達のしたいように動く。
・・・若干未来を知っているのでズルいとか、そんなんは全部スルーだ。
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原作通りトンパは新人潰しらしい。
見るからに怪しいジュースをあっさり飲み干すキルアは何を考えてるんだろう。
どうせ毒とかそういう類のものは効かないし、いいんだけどね。
私と夕雨は丁重にお断りしました。
下剤入りジュースを飲む趣味なんてないし。
「あー・・・オレちょっと見てくる」
突然キルアがそう言って、私達のそばから離れた。
別にそれは構わない。
ただ・・・
「主語を言え、主語を」
同感。
私は、呆れたような夕雨の言葉に思わず全力で頷いた。
ちょっと、って何よ、気になるじゃん。
何となくキルアが歩いて行った方を見ていると、不意に脳内に危険信号が鳴り響いた。
ハッとして見つめた方には、
「・・・やば、忘れてた」
変態ピエロ・・・否、ヒソカがいた。
そうだった、ヒソカもこの試験受けるんだった・・・。
原作知ってるのに何故忘れてた、私。
ていうか本人から直接聞いたのに忘れるとか、馬鹿としか言いようがない。
「あー・・・ヒソカか、確かに忘れてたかもねー」
呑気に笑う夕雨が心の底からうらやましい。
・・・仕事の関係で会いに行ってんのに、セクハラはやめてください切実に。
特に人前では。
そしてこの試験中夕雨に手出したらマジで殺してやる。
・・・勝手に心の中で宣言してたら虚しくなった。
しかも夕雨から怪訝そうな、それでいてどこか冷たい視線を頂いて、私真面目に泣きそうです・・・。