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案内された奥の部屋で、ステーキ定食をぱくつく。
美味しい。
「てかさ、オレそっちの名前ろくに知らねぇんだけど」
目の前で同じくステーキ定食を食べていたキルアに思い出したように言われた。
そういえば、情報屋・ココノエとしか自己紹介してない気がする。
「じゃ、自己紹介しようか」
いつの間にか食べ終わっていたお姉ちゃんが、ナイフとフォークを置く。
あたしは必死にナイフを見ないふり。
・・・てゆーかお姉ちゃん、食べるの早すぎ。
「まず私、朱雨」
超簡潔にお姉ちゃんが言った。
じゃあ、あたしもお姉ちゃんを見習って。
「あたしは夕雨。改めてよろしくー」
「ふーん・・・ユウにシュウだね。2人は姉妹かなんか?」
あ・・・キルアなんか間違って理解してんな。
「そうだよ、夕雨は私の妹」
「えぇぇーっ!?」
・・・やっぱり。
身長からしたらあたしのが高いからな。
「オレ、ユウのが上かと思ってたぜ・・・」
「よく間違われるけどね、私これでも16なんだ」
「マジ?」
「ちなみにあたしは14ね。キルアは・・・11歳だっけ?」
確か、ハンター試験受ける時点では11歳のはず。
「そ。なんで知ってんの?」
原作を読みました、なんて言えない。
「だってあたしら情報屋だよ?」
「ていうか、シルバさんに聞いた」
・・・そういやそうだ。
シルバさんが言ってた気がする。
「ふーん」
「キルア、家出したんでしょ?」
「まあね」
お姉ちゃんの問いに軽く答えるキルア。
お姉ちゃんは続ける。
「あんまり家族心配させない方がいいと思うけどな」
・・・これは、お姉ちゃんの本音だ、きっと。
両親を亡くしたあたしらからしたら、両親が生きていること程羨ましいことがないから、だから・・・。
「心配?きっと心配するとしたらオレがもう家に帰らない、とかそんぐらいだぜ?」
答えたキルアの瞳は冷めきっていて、お姉ちゃんは唇を噛んだ。
微妙な空気が嫌で、あたしはフォークを持ち直した。
あたしが丁度ステーキ定食を食べ終わった時、部屋のドアが開いた。
瞬間感じた殺気に、ハンター試験が始まるんだと思った。