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----朱雨side
「お姉ちゃん、こんな依頼来たよー」
夕雨の呑気な声に、示されたパソコンの画面を覗き込んだ。
覗き込んで・・・思わず飛び出しそうになった声に口を塞いだ。
「びっくりだよねー」
夕雨は笑っているが、私はそれどころじゃない。
「うそぉ・・・」
依頼主はイルミ=ゾルディック。
これには特に驚く要素はないけれども。
ゾルディックは割とお得意様だし。
驚いたのは、依頼の内容が
『キルア=ゾルディックの居場所』についてだったからだ。
「始まったね、原作」
「いや・・・これどうすんの」
夕雨はどこまでも呑気だった。
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夕雨発案の情報屋は、それなりに儲かった。
初めの頃はハッキングによって得た情報を売ってたけど、今は違う。
紙の上に手を翳して、溜め息混じりに呟いた。
「・・・記される情報<ハッキング>」
具現化と特質を得意とする私の、情報を集めるための技。
しばらくして(15分くらい)、まっさらだった紙に文字が現れた。
“記される情報”の難点は、情報が現れるまでに時間がかかること。
情報が現れるまで集中していなくてはいけない。
紙に記された情報を読んで、思った通りだと肩を竦めた。
“ハンター試験受験/ザハン市”
現れたのは、そんな言葉だった。
とりあえずイルミに情報を売り付けて、さあこれからどうしよう。
「「とりあえず原作に関わってみる?」」
図らずも夕雨と重なった声に笑いながら、私たちは出発の準備を始めた。
仕事はしばらく休みにしよう。
情報屋を始めて約1年。
本当に久々の休みだった。