サイトネーム | ナノ
さて、念の系統もわかったことだし。
「「これからどうする?」」
・・・台詞が被ったのは仕様ってことにしてください。
----------
「まずは、とりあえず仕事でしょ?」
「えぇーー・・・考えてみてよ、お姉ちゃん!あたしら金はあるんだよ?」
せっかくなら遊ぼうよ!って思っちゃう、能天気なあたし。
何しろ、これまで自由なんてなかったんだから。
・・・でも、
「とか言ってる内になくなるよ、きっと。その前に金稼いどかないと」
「・・・はぁい」
・・・しょうがない。
確かにお姉ちゃんの言ってることに一理あるし。
「それにしても、仕事、ねぇ・・・」
「できれば、楽にたくさん稼げる仕事がいいよね」
「・・・いや、お姉ちゃん・・・それはいくらなんでも・・・」
無茶苦茶なことを言い出したお姉ちゃんに思わず呆れる。
楽にたくさん・・・って、そんな仕事あったら誰もまともに仕事なんか・・・ん?
楽に、たくさん・・・?
「・・・お姉ちゃん」
「ん?なんかやりたい仕事、あった?」
「お姉ちゃんさぁ・・・ハッキング、できるでしょ」
「・・・あ、その手があった」
今さら犯罪なんて気にしません。
----------
あたしたちは、あたしが11で、お姉ちゃんが13の時、両親を亡くした。
親子揃って交通事故だなんて、馬鹿馬鹿しくて笑えてくる。
でも、そん時は笑い声じゃなかった。
母さんたちが死んで、あたしたちには味方がいなくなった。
両親以外の親族であたしたちの味方だったのは、父さんの父さん・・・祖父ちゃんだけだった。
でも、その祖父ちゃんも、その3年前に他界してて・・・。
残されたあたしたちを引き取ったのは、厄介事と子供が嫌いな親族だった。
当然あたしたちはろくな扱いを受けなかった。
自分達の義務を放棄して、あたしたちをぼろいアパートに押し込んで、おしまい。
それとも、住む場所を与えただけ感謝するべきなんだろうか。
生活費なんてなかった。
生きるために万引きでも恐喝でも、何でもした。
日に日に逃げ足が速くなった。
道場をやっていた祖父ちゃんのおかげで、お姉ちゃんは強かった。
10歳の頃には大学生をも圧倒していた強さで、簡単に生活費を絞り出してきた。
・・・あの日までは。
----------
「ハッキングかぁ。あっちの世界では役に立たなかったけど、こっちでは役に立つんだね」
あたしらが選んだ仕事は、情報屋。
買ったばかりのパソコンの、画面の1番上に表示されているのは、『情報屋・ココノエ』の文字だった。