(900番みー吉さんキリリク)
あの日から始まった。
『これ、ナミに渡しといてくれ…』
すごく照れたゾロの顔。いつもの彼からは想像できないくらい真っ赤な頬。とにかくびっくりした。
でもゾロの目は真剣で、ああゾロはナミが本気で好きなんだってわかった。だからこそ、応援したいって思った。
もともとゾロとは仲良くて、お兄ちゃんみたいな存在だった。
きっとゾロもそう。私を妹みたいに大切に思ってくれてる。
だからこんなこと私に頼んだのだろう。
頼りにされたことは嬉しかったし、今まで剣一筋だったゾロが女に興味をもって、本気なんだってわかって、応援したくなった。
始めはいろいろ二人がくっつくように、さりげなくお手伝いしてた。だけど最近は、二人を見てると胸が苦しい…
「手鞠!」
「あ、ゾロ。…トレーニング終わったの?」
「おう。それより明日、次の島着くらしい」
嬉しそうに話すゾロに、また胸がギューっと締め付けられる。
きっとナミと一緒に島を回りたいのだろう。
それをわかっているからか、気分が上がらない。
「そうなんだ」
私が愛想笑いすると、ゾロは心配そうに顔を覗き込んできた。
「……最近元気ねェけど、どうした?」
さっきの笑顔は消えて、真剣な顔をする。
「何でもないよ、全然平気」
ニッと歯を出すと、ゾロはコツンと私の頭を叩いた。
「ばーか、無理すんじゃねェよ。何かあるならちゃんと言え」
俺には嘘つくなと優しく頭を撫でてくるゾロに、涙が出そうになる。
どうしてもっと早くこの気持ちに気付かなかったんだろう。
ゾロの恋を応援すると約束したのに、自分の感情が溢れでて止まらない。
「……よし、明日一緒に島まわるか!」
「え………?」
「いつものお礼に何かおごってやるよ」
こうやってさりげなく自分のことより他人を優先するゾロがすき。
ねえ、もうこれで諦めるから…
今回は甘えていいかな?
「えへへ、じゃあ…たくさん買ってもらおうかな?」
「なっ…そんな高ェもんは買えねェからな?」
焦って付け足す彼に、思わず顔がほころんだ。
ゾロはナミが好きでもいい。
だって私が彼を好きな気持ちは変わらないから…
それに、彼の1番の理解者は私だもん
この気持ち海に流そう
好きだだから、もう迷わない
私の分まで幸せになってもらうんだ
2012.02.24.22:39
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