(555番marieさまキリリク夢)
今日の見張りはわたし。
敵船なんて全く現れる気配はなく、特にやることもない手持ち無沙汰なこの時間。
つまらないうえに、とても寒い。毛布に包まってはいるものの、やっぱり寒い。
意味もなく、最近寒いなーなんて独り言を呟いたら、後ろから低い声が聞こえた。
「俺があったかくしてやろうか?」
後ろをバッと振り向けば、ニヤリと笑った愛しい男。
「っ…ゾロ!盗み聞き?それに、らしくないこと言わないでよ。気持ち悪い」
気持ち悪いなんて嘘。本当は今、すごくドキドキしてる。
実際、ゾロに温めて貰いたいな、なんて淡い夢を抱いていたときだったから本当に驚いた。
「お前が勝手にぼやいたんだろ。それに、俺はあったかいココアで温めてやるつもりだったんだが?何を想像してやがる」
ニヤニヤした彼の手には、確かに温かそうなココアが入ったコップがあった。
「べ、別に何も…!ありがとっ」
わたしはゾロから奪うようにココアを受け取った。
刹那、指先が触れ合って、ビリッと電流が流れたような衝撃が走る。ドキドキがうるさい。
ただほんの少し触れただけなのに、こんなにドキドキして、緊張してる。
ちらりとゾロを見たら、彼も心なしか頬が先程より赤い気がした。
「……そ、それより何で此処来たの?」
空気を変えるため、わたしが話しを振った。
ゾロは「あー…」と頬をポリポリかきながら、少し黙り込んで、ゆっくりと話しはじめた。
「…昼寝し過ぎたから眠れなかったんだよ」
「いつもは昼寝たくさんしても、ちゃんと寝てるじゃん」
頭に疑問符を浮かべていると、ゾロは頬を赤く染めた。
「うるせー、別に何でもいいだろ」
何だか照れたゾロが新鮮で、胸がキュンとなった。
どうして此処に来たのかはわからないけど、わたしのこと嫌いじゃないから此処にいるんだよね
そう思ったら、自然と口角が上がった。
「うん、何でもいいやっ!へへっ」
「何笑ってんだよ」
きっとゾロは、見張りのつまらなさを知っているから、話し相手になりにきてくれたんだろう。
しかもわたしが大好きなココアを持って来てくれた。
そんな彼の優しさに、やっぱりわたしはゾロが好きだと再確認する。
「あっ!そういえばこの前わたし、ロビンから星座教えてもらったの!ゾロ知ってる?」
「へー、星か。知らねェな」
「じゃあわたしが教えてあげるよ!」
もっともっとゾロと一緒にいたい。二人の思い出作りたい。
両思いになりたいとか、そんな大きなこと言わない。
ただ、ずっとゾロとこうして笑っていたいな
不器用な星たち
お前と喋りたくて来ただなんて言えるかよ…
だからそのかわりに、もっとお前と一緒に居てェ
2012.01.31.19:20
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