(400番尤茄さんキリリク夢)
「ねえフランキー?前から思ってたんだけど、寒くないの?」
「男は寒さを感じないんだぜ!」
唇を青く染め、足をがくがくと震えさせながら言う彼に、説得力の欠けらもない。
まあ唇が青くなるのも無理はない。
冬島が近い今、雪がちらつくこの時期に、いつもの如くパンツ一丁で、外をウロウロしているのだから。
「…強がっちゃって。あのゾロでもダウン着てるんだよ?」
筋肉バカと呼ばれる彼でさえ、暖かいダウンを着て過ごしている。
そんな中、やっぱりパンツ一丁で過ごそうとするフランキーは、本物のバカなのだろう。
「風邪引いたらどうするの」
「サイボーグだから、風邪はひかねェ!」
サイボーグと言われても、人間は人間だ。
人間である以上、風邪は引く。
「それを言うなら、バカは風邪ひかないでしょ?」
「いや、俺はスーパー天才だ!」
何処からその自信が出てくるのだろうか。
思わずふふっと笑ってしまう。
「やっぱりフランキー寒そうだよ!仕方ないなー…」
わたしはフランキーをぎゅっと抱きしめた。彼の体は冷えきっていて、氷のようだった。
冷え症のわたしの手よりも冷たくなった彼の体を温めるように、わたしは抱きしめる腕の力をぎゅっと強めた。
「うぉぉぉおお!!」
フランキーは慌ててわたしから一歩ひこうとしたが、わたしがガッチリと掴んでいたため、無意味だった。
「暴れちゃダメ!ほら…フランキー、暖かいでしょ?」
わたしは腕を彼の背中に回したまま、顔を上げる。
身長差があるけど、やっぱり抱き着いているせいか、顔が近い。
次第にフランキーの頬が赤く染まっていった。
「…フランキー、顔赤いよ?大丈夫?」
「いや、大丈夫だ!俺ァスーパー元気だ!いや、ウルトラスーパー元気だ!」
ドクドクと彼の鼓動が早くなるのを感じ、わたしは彼から手を離し、おでこへと伸ばした。
「うーん…熱はなさそうだね」
フランキーは頬を真っ赤に染めたまま目をそらした。
「ほっぺ林檎みたい!」
うふふと笑ったわたしに、フランキーはうるせーと大声で叫んできた。
「ごめんごめん。フランキー、寒かったら言ってね?わたしが温めてあげる」
赤く染まる頬
下心なく抱き着いてくるんだから、罪な奴だよな
俺の気持ちも知らないで…
2012.01.31.18:41
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