(※学パロ)


「先輩、……卒業おめでとうございます」

あたしは必死で笑顔を作った。
憎いくらいいいかんじに桜が舞うものだから、涙が溢れそうになる。

「…別に一生の別れじゃねェだろ」

緑の彼の髪にピンクの桜の花びらが落ちる。
あたしはスカートをギュッと握った。

「でも、やっぱり嫌です。もう廊下ですれ違ったり、一緒にお弁当食べたり、学園祭回ったり、学校二人でサボったりできなくなるなんて…」

たくさんたくさんある先輩との思い出が走馬灯のようによみがえる。


「…先輩、どうして留年しないんですかっ」

あたしが今にも泣きそうに冗談を言うと、彼はフッと笑った。

「悪いな、頭が良すぎて」

くしゃりとあたしの頭を撫でる先輩の手がいつもみたいに大きくて、涙が溢れた。


「どうしてバカじゃないんですかー!バカだったら、また一緒にいられるのにっ」

うわーんと大声で泣くあたしをあやすように抱きしめた。

「フッ…はいはい、悪かったよ」

先輩はトントンと背中を軽く叩きながらあたしを落ち着かせてくれた。


「先輩、好きです」

「知ってるよ」

「だ、いっ…すき、なんですっ」

涙がポロポロポロポロと流れてくる。
先輩は優しく微笑んで、あたしのおでこにキスをした。


「寂しくねェように毎日メールしてやる。何か学校で嫌なことあったらすぐ電話しろ。駆け付けてやる」

先輩がいない学校なんて、考えられない。
寂しくて毎日泣いちゃうかもしれない。

だけど、先輩の夢を応援したい。だって先輩の夢が叶うことが、あたしの夢だから。




「先輩、おめでとうございます」




今度は満面の笑みで先輩にそう伝えた。
待っててください。すぐ追いかけますから







桜に誓う
(来年、必ずまた先輩の後輩になりに行きます)






2012.02.04.16:52


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