大嫌いだ大嫌いだ
みんな死ねばいい
あたしの為に死ね

「グハァ!…女一匹の癖にっ……!」
「死ね、死ね!お前らみんな死ねよ!」

あたしはがむしゃらに剣をふるった。
今日だけで何隻の海賊を潰したのだろうか。

「も、もう助けてくれっ!」

威勢のよかった海賊たちの口からは、気づけば弱々しい声がでていた。しかしあたしはそんな男たちの頭を踏み付け、残虐に刀を何度も突き刺した。
あたしの洋服を染めていく赤色。真っ白だった服は、もう真っ赤になっていた。


「死ねばいいんだ!お前らなんか死ねばいいんだ!」

そう叫んだ。海賊たちの目は、明らかに戦力を失い衰弱していたが、あたしは剣を振るう手を止めはしなかった。


狂ってるよお前


何度も聞いた。聞き飽きた。
そうだよ、あたしは狂ってるんだ。だけどやめられないんだよ。



あたしは真っ赤の服のまま、最寄りの島に向かった。
島に着くと、港であたしの姿を見た島人は皆逃げて行った。もうこんなこともなれた。

しかしただ一人、あたしをジッと見つめたまま逃げずにいた緑の髪の男がいた。

「お前、それどうした」
「返り血浴びたら赤く染まっただけだよ。悪い?」

あたしは顔に着いた誰のものかもわからない血をペろりと舐めた。
男は怖がる様子もなく、ただあたしをジッと見つめた。

「最近海賊が減ったのは、お前がやってたのか」

刀を3本も持っていることから、コイツが海賊狩りのロロノアゾロだと気づいた。

「…ああ、思い出した。ロロノアでしょ?ごめんね。悪いけどあたし、金稼ぎの為にやってるわけじゃないから」
「ロボット殺人姫緋奈か」
「ロボットだなんて異名失礼だよねー、あたし人間だし。ほら」

ザシュッと自分の刀で左手の甲を切り裂いた。

「っ………」
「ねえ、ロロノアって強いの?」

あたしはニヤリと笑った。
そして刃をロロノアに向ける。


「戦おうよ」
「戦う理由がねェ」
「死ぬのが怖いの?」

あたしはそう言って突きを繰り出した。しかし寸前のところで避けられてしまう。

「すごーいっ!普通ならこれで呆気なく死んじゃうのに。さすが名が知れてるだけあるね」
「……チッ」

ロロノアは刀を一本抜いた。

「女だからってなめてる?三刀流見せてよ」
「……後悔してもしらねェぞ」
「ふふふ、後悔なんてしないよ」

キィンキィンと金属のぶつかり合う音が心地好く聞こえる。
ロロノアは強かった。だからこそ楽しかった。
お互い一進一退の攻防が続き、最終的にザシュッという音と共に、あたしはロロノアに覆いかぶさられた。
しかしあたしは無傷で、ロロノアの刀は、あたしの顔の数センチ横に突き刺さっている。

「なんで殺さなかった?」
「殺す意味がねェ」
「あたしは戦いに負けたんだ。殺せよ」

しかしロロノアはあたしから離れると、剣を鞘におさめた。

「死にたがるな、命捨てるようなことすんじゃねェよ」
「…生きる意味がない。やっとあたしを殺してくれる奴と出会えたのに…何で殺してくれないんだよ」
「何があったかはしらねェが、てっぺん目指せよ」
「…てっぺん?」
「俺は世界一の大剣豪になる」

……ふふっ
あたしは思わず笑ってしまった。

「面白いね、ロロノアって」
「真面目だ、俺ァ」
「だからだよ」
「訳わかんねェな」
「よく言われる」

何でかわからないけど、何かロロノアに惹かれた。ロロノアの真っすぐなとこが、面白く感じた。

「責任とってよ。あたしを殺さなかったんだ。あたしを拾って?」

あたしはそういって、刀を鞘に戻した。

「……勝手にしろ」

ロロノアはそういうと、歩き出したから、あたしはニッコリ笑ってロロノアの後ろを着いて行った。

背中を預けたってことは信頼されたってことだよね





背中に殺人姫
(ロロノアの背中はあたしが守ってあげるよ)





2012.01/06.17:05


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