(現代パロ)
「おい、園城寺。この書類のコピーはどうなってるよい?」
「あ、はいっ!えっと…あ、ここです!」
「ちゃんとココに置いておけって言っただろい」
マルコ部長にビシッと怒られる。私はペコペコと頭を下げて資料を部長に届ける。
「ご、ごめんなさい」
「謝るときはごめんなさいじゃねェ。申し訳ありませんだ。覚えておくよい」
「は、はいっ!」
そういうと部長は優しく私の頭に手を乗せると、そのプリントを持って会議に行ってしまった。
「…ふぅー」
私は自分の席に戻ると、たくさんの書類で散らばっている。私はさらに肩を落とし、ゆっくりと整理し始めた。
書類をトントンとまとめて整理していると、ポロリと何処からか一本の万年筆が机の下に落ちた。深海のような深みのある青色に、キラキラ輝く宝石のような金色の文字で、Marcoと書かれている万年筆だった。
やばい!
やばいやばいやばい!
私は慌てて落ちた万年筆を拾い内ポケットにしまった。恐る恐る周りに見られていないか確認する。キョロキョロと辺りを見たが、どうやらばれていないみたい。安心した。私は安堵するとまた仕事に戻った。
**
「園城寺、ちょっといいかい」
会議を終えたマルコ部長が、帰ってくるなり私を呼び出した。
「あ、はい…」
私は会議の資料に不備があったのかとビクビク怯えながら、マルコ部長の後を追った。
会議室に入ると、マルコ部長はしっかり鍵をしめて、私に向き直った。
「緋奈、」
不意に名前を呼ばれ胸がはずむ。心臓がバクバクと激しさを増す。
「ぶ、ちょっ…」
「二人きりのときはマルコでいいよい」
そう言われても、マルコ部長みたいに公私をはっきり分けられない。いつポロリと名前で呼んでしまうかわからないから、中々名前で呼べない。…いや、単に私が恥ずかしくて名前を呼べないだけかもしれない。
「そ、それでどうしたんですか?まさかここで…なんてことはないでしょうし…」
語尾が弱々しくなる私に、マルコ部長はいやらしく笑って、私を壁に追い込むと体を密着させてきた。
「なんだよい。緋奈昨日あんなに激しくヤったのに、会社でもヤリたいのかい?」
「なっ!う、そんなことっ…」
顔を真っ赤にして否定すると、マルコ部長はそんな私を楽しそうに見つめ、そおっと私の足を下から上に指を這ってきた。
「ひゃっ…」
甘い声が二人きりの会議室に響く。マルコ部長は私にそっと触れるだけのキスをすると、パッと離れた。
「さすがに会社ではやらねェよい。まあご希望とあらば、いくらでもヤってやらねェこともないがねい」
クククと笑うマルコ部長は本当にいやらしい。私は顔を真っ赤にしたまま、「もうっ!!」と怒ると、捨てゼリフとともに会議室を出て行った。
「からかわないでくださいっ!」
バタンと音を立ててしまった扉から、何か部長が言っていた気がしたけど、もう知らない。
万年筆の行方
(昨日万年筆忘れたから今日取りに行くって伝えたかっただけなんだけどねい)
2013.11.19.15:59
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