愛してるって言ってくれるだけでよかったのに。嘘でもそう言ってくれればよかったのに。
わたしがこうすることをわかっていて言わないとこが、やっぱり憎いよ。


「ドフラミンゴ」
「フフッ」

彼は奇妙に笑って、わたしを見つめる。

「ねえ、愛してる?」
「さァ?」
「…わたしは他の女と変わらない?わたしは貴方だけなのに…貴方はわたしだけのものになってくれないの?」

彼をベッドで押し倒した。
下着姿のわたしに、説得力なんてないのかもしれない。だけどわたしには、貴方にとってこれくらいの価値しかないんでしょう?


「フッフッフ、何する気なんだァ?」
「…愛してるって言ってよ」

厚い胸板をべしべし叩いた。
こらえていた涙がポロポロと溢れ、彼の胸に落ちていく。


「何で言ってくれないの?手も繋いだ。キスもした。エッチもした。二人でたくさん旅行もした。だけど貴方は、わたしに一度も好きって言ってくれない!」
「そうだなァ」
「それにわたし以外の女と肩を並べて歩くし、キスもしてたのも見たの!」

涙はポロポロとこぼれ、彼の体を濡らす。わたしは馬乗りになったまま、彼の胸に顔を埋めた。

「あんなに大きな胸はないし、テクニックもない。それにお金だってないし、大して可愛くもない。弱虫だし泣き虫だし寂しがり屋だし、貴方に好かれる要素を必死に探したけど、見つからなかったの!」
「フフッ、」

彼は笑ったままだった。
いつもそう。何を考えているかなんてわからない。だけど彼はすぐわたしの考えていることを当てて…

「緋奈」

いつもは緋奈チャンなんて、子供をあやすように言うくせに、何でそんな風に呼ぶのよ

「緋奈」
「……ず、るいっ!」

わたしは顔を上げて、彼を見つめた。
きっと今、すごく酷い顔をしているんだろうな

「フフッ、」

彼は小さく笑って、わたしに触れるだけのキスをした。
それだけじゃ足りないってわかってるはずなのに、やっぱり貴方はずるい。

今度はわたしからキスをした。彼に教わった大人のキス。甘くて深い口づけ。
くちゅくちゅと舌を絡ませれば、彼もわたしの口内を襲った。


「すきっ…ハァ……だい、す…きっ…」

もういいの、貴方が言わない分わたしが言うから。
貴方が戻って来てくれるだけでわたしは幸せだから。だって嫌いだったらわたしとこんなことをしないでしょ?

愛してるなんて言葉いらない。
だからお願い、もっと側にいて。わたしから離れないで。



それでもやっぱり
(言葉が欲しかったの)




2012.01/04.03:12


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