※学パロ(大学生)



会いたくない。本気で会いたくない。もう関わりたくない。別に嫌いじゃない。一緒にいて楽しいし、一人よりは誰かと連んでいた方がすきだから嬉しい。だけど、わざわざ夏休みになってまで会いたくない。夏休みは地元の友達とちょこちょこ会って、あとはダラダラと過ごしていたい。



ピロロンッ

軽快なメロディとは真逆に、わたしの心はテンションが下がる。


「うわっ…連絡きたよ……」

「なんだよ、スゲー顔してっぞ」

わたしは地元の友達のエースと、ファミレスでドリンクバーと軽食だけ頼んで、ダラダラと会話していた。
するとエースはわたしの眉間に寄ったシワをグイグイと押してきた。

「いたい。やめて。わたし女の子」

「知ってる。でもやめねー」

エースは楽しそうにわたしの眉間のシワをなぞるように力強く触って来る。いたい、ってか鬱陶しい。


「ハァ…わたし友達運は今まで恵まれてた気がしたんだけどなぁ…」

ボソッと呟くと、エースはわたしの眉間から手をはなし、心配そうに顔を覗き込んできた。

「どうしたんだよ」

「いや、大学の友達となんか馬が合わないっていうかなんていうか…」

わたしが真剣に話すと、エースはふーんとから返事をするだけで何だか興味がなさそう。


「ちょっ…聞いといてそれだけ?」

「いや、お前が聞けみたいなオーラ出すから一応聞いただけで…」

ムカつく。こういうのをハッキリ言って来るのもムカつく。でも落ち着く。なんかわかんないけど、落ち着く。

わたしは大学に入学して、友達がすぐにできた。友達の友達は友達法則で、どんどん知り合いや友人と呼べる存在は増えて行った。
でも、いつもよくいる仲のいい友達とは、正直言ってなにか違う。女特有のめんどくさい上辺の付き合いというものに感じてならない。
基本的にテキトーに物事を進め、お互いの顔色を伺い、ご機嫌をとらなくてはならない。めんどくさい。めんどくさい。めんどくさい。めんどくさい。めんどくさい。

さっききた連絡も、どうせ遊ぼー!とかいう連絡だ。遊びたくない。大学だけの付き合いで十分だ。それ以上いらない。必要ない。わたしは、地元の友達でいい。


「うわああああああああああっ!エース、わたしの大学きてよ!」

「なんでだよ、お前虐められてんのか?」

そんなわけないでしょと素早くつっこむと、エースはゲラゲラ笑ってきた。なんなんだこいつ。わたしをバカにしてるのか?


「なんてな、まあいじめられたらすぐ言えよ?俺が一発絞めてやる」

不意に真顔でそう言われ、一瞬ドキッとしてしまった。エースはなんだかんだでいつもわたしのことを心配してくれてる。
何も考えてないようで、いざとなったら本当に頼りになる男友達。そう、エースはただの男友達。
中高ではよく付き合ってるんじゃないかとか言われたりもしたけど、お互い今まで特に肯定も否定もせず、変わらない関係を続けてきた。付き合ってるのか付き合ってないのか、正直本人が1番よくわからない。


「エース、ありがとねっ」

「おう」

わからないからこそ、いいのかもしれない。わたしは一人じゃない。エースはいつもわたしの味方でいてくれる。いつも、ありがとう。これからもずっとずっと、わたしの味方でいてね。






わたしの味方





2013.09.11.23:19


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