「もぉっ!なんなんれしゅかっ!わたしが女だからいけないんれしゅか?だから手加減しゃれるんれすか?ろろのあああぁぁっ」

一体誰がこんな姿のたしぎを想像したのだろうか。きっと誰もが口を揃えて、こういうだろう。

「酒癖悪いな……」

小さくため息をすると、隣からフッと笑われた。

「いつものテメェもこんなかんじだよ」

そう言ってゴクリと度数の高いお酒を飲み干したのはスモーカーさん。
私の上司であり、恋人である人。

「なっ!し、失礼な!さすがにここまで酷くありませんよ!」

「さァどうだかなァ」

フッと鼻で笑う彼が憎らしい。
それは二人きりだから、ですよ。


「もぉー!スモーカーしゃんも、緋奈しゃんも、私の話聞いてるんれしゅか?」

二人ばっかりイチャイチャしてぇ〜!と文句を言いつつ、死んだように突然倒れ、すやすやと眠ってしまった。



「あ、たしぎ…?」

「ホント忙しい奴だな」

スモーカーさんはそう言ってお酒をまた一口呑むと、私の腰をグイッと引き寄せた。

「きゃっ」

バランスを崩してスモーカーさんの膝の上に倒れかかってしまう。慌てて体を起こそうとするのだが、何だか自分が思ってた以上に、酔いが回ってきているみたい。頭が重たく、ふわふわしてきた。

「おい、何か勝手に寝てやがる」

「だって、スモーカーしゃんが…ぐいって、…んー……」

さっきまで全然平気だと思っていたのに、スモーカーさんに膝枕されているからか、とても心地いい。瞼が自然と重力に負けて閉じて行く。

「おい、話途中で止めて寝てんじゃねェよ」

「スモーカーしゃんのにおい、すきー。えへへ、きもちいっ…」

そう言って私はスモーカーさんの膝に顔を埋めると、規則正しく寝息をたてて眠りの体制に入った。スモーカーさんが遠くで、おいと何度も私を呼んでいた気がしたけど気にしない。だってものすごく気分がいい。
スモーカーさんのにおいに包まれて、温かくて、そしてふわふわして、ああ幸せだなって思っていたら、突然頬に軽く刺激があたる。
ツンツンと数回突かれ、その後頬を抓まれた。
しかし私の瞼はまだ開いてはくれないようだ。


「ったく、無防備すぎだァ」

そう小さく呟く声が聞こえた瞬間、口に何かが触れ、ぬるりとした何かが私の口内を襲った。すぐに終わるだろうと思っていたが、それは中々止まることなく、次第に息が苦しくなった。
私キスされているんだと気づいたときには、もう酸素不足で、頭がクラクラ。私は目を開き、スモーカーの胸元を掴むと、必死に呼吸をした。

「んっ、ふぁっ……はぅっ…」

しかし彼は中々キスを止めてくれない。どんどん激しさを増すリップノイズで、たしぎが起きてしまわないかとても不安になる。こんなところ見られたら、何を言われるか。


「あんまり声出すと起きちまうぞ」

そう言って私がこしょぐりが弱いのを知っている彼は、私の服に手を入れて、脇から横腹にかけてをこちょこちょとこしょぐってきた。

「んっ…やめっ……」

必死に声を抑える姿が楽しいのか、意地悪な彼はやめてくれない。ばれたら一体どうするつもりなのか。この変態野郎。必死に抵抗を試みるのだが、スモーカーさんの力にかなうはずがない。おへそがちらりと見え隠れする。ダメだ、お酒が入って体に力が入らない。


「だ、めっ……」

「ダメだァ?素直じゃねェなァ」

クククと喉を鳴らす彼は心底楽しそうで、背中がぞくりとした。この人はどうやら正真正銘のSらしい。そしてこんな状況なのに、興奮してしまっている私は、きっと彼に負けて劣らない変態なのであろう。


「変態っ」

そうやって憎まれ口を叩くと、彼は嬉しそうに言った。

「どうも」

そう言って笑いあった私たちは、きっと本物の変態カップルなんだと思う。







どうも、変態さん






2013.08.27.23:56


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