(ウソップ誕生日記念)



嘘つきで鼻がやけに長くて、弱虫ヘタレなそんな幼馴染が、わたしはだいすきだった。
彼のつく嘘は目に余ることも多々あったけどその嘘も、鼻が長すぎるところも、弱虫ヘタレなところも、全部愛おしく感じた。

でもそんな彼には好きな人がいて、そしてそれは決してわたしが勝つことができない人だったーーーーカヤという、わたしの実の姉。
姉は病気がちで、中々部屋から出られなかった。そこに彼が毎日のように嘘をつきにやってきた。
ウソップが姉を想う気持ちはわかっていた。しかし気づいたらそんなユーモアのある彼に恋をしてしまっていた。


「ウソップ、貴方に手紙を書いてみたの。読んでくれる?」

そっと腕を組んで、上目遣いで手紙を渡した。ウソップはいつものように笑顔で、わたしの頭を撫でてくれた。

「おう!なんだ、ラブレターか?照れ臭いな!」

「そう、ラブレターよ。最初で最後の、」

へへへと鼻の下を指でこする姿が、たまらなく愛しくて、そっとほっぺにキスをした。


「おおおおおいっ!緋奈、誰か見てたらどうすんだよ!」

顔を真っ赤にして、わたしの顔を覗き込んだ。
ああ、愛しい。とても愛らしい。なんて、かっこいい海の戦士に言ったら怒られてしまうかも。


わたしはウソップが本当に海賊になると知ったとき、ついて行こうと決めた。
メリーにはもちろん反対されたし、ウソップも反対してきた。でも、唯一姉だけは背中を押してくれた。
きっと姉の体が元気なら、そうしていたはずだから。

それからわたしたちは付き合うようになり、晴れて恋人となった。でも彼の心の奥には、姉の存在があって、わたしの心にも姉がいる。



「緋奈?黙ってどうしたんだよ」

「ねえ、ウソップ。わたしのこと、すき?」

「な、なんだよいきなり!」

照れてる顔も愛しいのに。こんなに愛しいのに。

「当たり前だろ、好きだ!男に二言はねェ!」

「そっか。わたしの気持ちは、手紙に書いてあるから。じゃあね、」


そう言って笑ってわたしは彼の前から姿を消した。







さようなら、大嫌いな人
もう二度と会いたくないわ
今まで過ごした日々は本当に最悪だった
さようなら、じゃあね








偽りだらけのラブレター





2013.03.31


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