「フフッ、毒りんごチャン」

「ちょっと…!!!その名前で呼ぶのはやめてくださいと何度も申したはずです。もう昔の私じゃないんですから」

キッと私が睨んだ先にいるのは、ドンキホーテドフラミンゴさん。
王家七武海の一人の彼が、どうして私のような平々凡々の海兵に話しかけてきたのかと言うと…


「相変わらず冷たいなァ」

楽しそうに笑う彼に、私は大きくため息をついて、クルリと背中を向けた。


「昔は真っ赤な毒りんごと恐れられた海賊狩りが、まさか海軍になっていたとはなァ」

奇妙に笑う彼を無視して、私は歩き始める。
彼のいう通り私は以前海賊狩りをやっていて、いろいろあって海軍に入った。名前は有名だったが、幸い顔は世間に知られていなかったため、私が元海賊狩りという素性は隠して海兵になった。

そしてついこの間、本部に訪れた際、このドフラミンゴさんにばったり会った。
面識はなかったのに、彼は何故か私を知っていて、私が元海賊狩りだということも知っていたのだ。
それからというもの、彼はほぼ毎日、本部で仕事をする私に会いにきてはからかってくる。


「静かにしてください!誰かにばれたらどうするんですか…!」

「さァな」

他人が困ることを後先考えずに口走るなんて、無神経なやつだ。私は彼をキッと睨んでまた歩き出す。
しかしピンクのモフモフは心底楽しそうに私を追いかけてくる。


「フフフッ、毒りんご食ってやりてェなァ」

そう言った彼は、気づくと私の隣まで来ていて、ゆっくりと私の首筋に触れてきた。

「な、なに言ってるんですか…!!!」

「フッフッフ」

思わず立ち止まった瞬間、彼の顔が近づき、私の首筋をペろりと舐めた。





真っ赤なりんご
(真っ赤な髪に負けないくらい赤く染まった私の頬)






2012.04.22.09:13


prev | next



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -