「ハァー…ふざけんなって感じ」
「それはコッチの台詞じゃァ!」
サカズキはあたしを半分呆れたように怒ってきた。
「…貴様は何故あの海賊たちを逃したんじゃァ!」
「別に逃した訳じゃない。ちゃんとあたしが殺そうとしたけど、逃げられただけ。あれは仕方なかった」
あたしは必死に弁解したが、サカズキには届かない。
「ふざけちょる。貴様が邪魔しなければ、一匹足りとも逃がさず殺せたんじゃァ!」
そう、あたしは頂上戦争でサカズキの戦いの邪魔をしまくった。
始めの彼は見ているだけだったから、安心して戦っていたのだけれど、突然彼も戦い始めるのだから、正直焦った。
別に彼が心配とかそんなんじゃない。
ただ彼が戦って、海賊たちが死ぬのが嫌なのだ。
彼の手で死ねるだなんて幸せを、味合わせたくない。
海賊たちにそんな権利ない。
「だからいつも言ってるじゃない!アイツら糞共が、貴方に殺されるだなんて、幸せなことさせたくないって!」
「狂っちょる」
「それはお互い様でしょ?」
ふふっと笑うと、サカズキはあからさまに嫌そうな顔をしてきた。
「何でそんな顔するのよ」
「貴様ほど狂っちょらん」
「どうだかね」
だってただあたしは、サカズキが好きなだけよ
誰の血かわからないくらい真っ赤に染めたあたしの両手は、刀を鞘に収めると、サカズキの胸に飛び込んだ。
「まだ海賊共が残っちょる」
「いいじゃない。ちゃんとあたしが始末するから」
「……貴様がわからん」
それって褒め言葉かな?
クスリと笑うと、あたしは彼の頬にそっと触れた。
「貴方が殺していいのは、あたしだけだよ」
あたしがそういうと、サカズキはフッと鼻で笑って、あたしの首筋に噛み付いた。
染まる赤
(サカズキに染められたいの)
2012.03.24.11:48
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