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程なくしてボネールを引き取りに現れた探索部隊は俺たちに軽く挨拶をすると、喚くものの足が痺れきって満足に動けない奴を叱咤しながら引き摺り去っていく。
騒ぎを聞きつけて話し合いの場に、と場所を貸してくれたバーのオーナーにリーバーが礼を言うのを確認してそこを出た。

ゲートを守る教会までの道中、何度も露店に立ち寄ろうとする白髪をリーバーや監査官が宥めつつ、漸く目的地に着いた。人通りの無い日陰の裏口で時刻を確認すれば開くまでにまだ少し余裕がある。

「ゲートが開くまでにまだ時間があるんで!僕食べてきます!」
「…アレンの奴、空腹の限界なんだな」

苦笑するリーバーに、呆れる俺と新藤、監査官を他所に、ティムと食べ物を手に入れようとすぐそこの角の露店に突っ走っていった白髪は餓えた犬みたいだ。既にローストチキンらしきものにティムと食らいついている。
教会の中で俺達が待つ間、監査官が犬を回収しに行くことになった。

戸を開けた司祭の手にリーバーが暗証番号を書いている背中を退屈ながらも見ていれば横から視線を感じた。そちらに顔を向ければ新藤と一瞬目が合ったが逸らされた。今度はなんなんだ。

にゃお。

『っ!』

突如足元から聞こえた鳴き声。どたどたとその巨体を揺らしながら何処かを目掛けて走っていく。そして、

「あぁ!ティムッ!」

あろうことか、元来た道を引き返してきた。その口に金色のものを銜えて。

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