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“あの人”のことを私が察しているとは、やはり気付いてはいなかった。 それでいい。 私がそう望んだのだから。 いや、本当にそうだったのだろうか。それならば何故神田に私への想いを芽生えさせた? 知らないフリをしているだけで、私はきっと誰よりも強欲だ。醜い素顔を仮面で隠しているだけ。 それも今この手で、剥ぎ取ってやる。 『嬉しかった。好きだって言ってくれて。私は神田に告白されて初めて自分の気持ちに気付いたけれど』 だから最後くらい、本音を言ってもいいだろう? 『私も、神田が好きだ。もし戦争が終わったとしても、ずっと一緒にいたいって、思う』 私は、ちゃんと笑えているか? 『でも、それは絶対叶えられないから。お前に辛い思いをさせるだけだ。だから、』 イノセンス、私だってこれくらいの願いは叶えたっていいだろう? 『神田、【私を、】』 |
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