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あの日を境に新藤は俺に修行の相手を提案した。俺が怪我をする度に命を削っていることを思い出したからだという。そのプロセスが出来るだけ発生せずに済むよう、俺を強くしたかった。彼女自身も危険を冒してまでイノセンスを使っていたのはそんな理由からだった。

「馬鹿だろ、お前。そんな理由で…」
『私には特に夢とか望みは無かったし、それならお前の望みを叶える手助けぐらいしたほうがこの命は有意義だろう?』
「俺の?」

思わず振り返って新藤の顔を見てしまった。
彼女はただ、優しく笑っていた。

『愛する人を捜しているんだろう?』
「っ…」

心臓が、握りつぶされたのかと思った。

知っていたのか、“あの人”のことを。
確かに、人を捜しているということだけは言ったことがある。でも、それだけだ。

『一緒にいれば分かるよ。その点はお前、分かりやすかったからな』

ふふ、と笑う彼女に言葉が何も出て来なかった。

『でも、その人がいるから、私に心が向けられるなんて思ってもみなかった』

色んな意味で神田は難しいな、なんていう彼女ははにかんだ。

『嬉しかった。好きだって言ってくれて。私は神田に告白されて初めて自分の気持ちに気付いたけれど』

やめろ、なんでそんなに嬉しそうに笑う。

『私も、神田が好きだ。もし戦争が終わったとしても、ずっと一緒にいたいって、思う』

なんでそんなに泣きそうに笑う。

『でも、それは絶対叶えられないから。お前に辛い思いをさせるだけだ。だから、』

あぁ、そうか…。
やっぱりお前は、優しくて、残酷な奴だ。

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