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修練場の隅に二人、一言も話さずに座っているのに居たたまれなくて、両膝を抱えながら私は訊いたんだ。

『なぁ、もしも自分の死ぬ時を知っていたら、それまでにお前は何をする?』
「…お前や俺には縁遠い話だな」
『…分かっているよ、それくらい。もしもの話だ』

突然そのようなことを言い出した私に首を傾げたけれど、お前は応えてくれた。

「くだらねぇ、死ぬのがどうとか考える必要は無い。俺は生きる、お前もだ」
『そう、か…』

脆刃のようだったお前が、いつの間にか刃こぼれをも知らない名刀になっていた。
沢山のものを失ったあの頃のお前とは思えないくらい、眩しかった。

「馬鹿なこと考えるんじゃねぇよ」

すっと伸びてきた手はぎこちなかったけれど、

『…撫でるな』
「んな面していてよく言うぜ」

今も上手くは説明出来ないけれど、心が温かいものに包まれたような感覚に襲われて。
そうしたら視界がぼやけるのがどうにも出来なかった。

『…ありがとう』

小さく呟いた私の声が聞き取れなかった神田が首を傾げたのもそのまま、そのときは黙って正面を睨むように見ることしか出来なかった。

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