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沈黙に腰を下ろす森に妖しい月光が差し込む。 今宵は満月だ。 ぼぉっと立ち尽くしてそれらを見やっていれば何処かに人の気配。 やがて姿を表す。 「新藤…?もう平気なのか?」 『あぁ。…と言っても、何が悪かったか分からなかったけれど。心配をかけたな』 「なっ…!べ、別に心配なんかっ」 『相変わらず素直じゃないな』 「うっせぇ!」 月光でも分かるほど顔を紅潮させた神田は、私に笑われるとバツの悪そうな顔をし、またいつもの仏頂面に戻して隣に立った。 沈黙 普段コイツとのこの瞬間は心地良いと感じるのに、今日は違かった。 何故だろう、隣の男が緊張している。 長年付き合ってきた経験からか分かってしまった。 「新藤」 『ん?』 沈黙を破った彼の声。 意外と近くにあった黒曜石は何か決意をしたらしい。 「お前に、ずっと前から思っていたことがある」 視線を逸らすことなく、ゆっくりと彼の唇から零れていく言葉に、 私は己を責め 「俺はお前が、」 存在することを恨んだ。 |
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