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「今回はイノセンスの確率は低いけど、二人とも頼んだよ」
『あぁ』
「分かりました」

出発の準備のために先に部屋に戻るアレンを確認すると、珍しくしっかりと書類と向き合って判子を捺すコムイの前に立った。

「…どしたの?そんな神妙な顔しちゃって」
『そろそろかもしれない』
「誰かさんに告白とか?」
『殴るぞ』
「じ、冗談だって」

握られた彼女の拳に冷や汗。
しかしいつもの彼女ならそこで手をすでにあげているはずであるのに、それは最初の位置のまま。不審に思い、見上げる。
彼女は真っ直ぐな瞳をしていた。

『さっきアレンが私のことを呼びに来た』
「僕が頼んだからね」
『私はいつの間にか眠っていた。それで肩を揺すってくれたらしい。でも気付かなかった』
「…!」
『節目が来るのもそう遠くはないかもしれない。それだけは報告しておく』

言い終えるとコートを翻しながらこの場を去っていった。残ったのは彼女の淋しげな瞳と憤り。

「君はどうして、そこまでして戦い続けるんだ…っ」

神は一体彼女を何処に導きたいのだろう。

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