行動 <玄折>


玄田は切った携帯電話を
しばらく眺めていた。

"知らないわ。"

彼女が言った言葉には
ここ最近
指環を貰うようなことは
なかった、と意味していた。

実際彼女の指に
嵌まっているところを
見たことはなかったから
わかっていたことなのだが
彼女の口から聞く方が
安心感が違う。

―――安心感?

玄田は自分にも
このような不安が
あったことに笑った。
そしてある場所へ
歩みを進めた。



電話が切れてからも
しばらく折口は
放心状態にあった。

「折口さん?」

同僚に声をかけられ
やっと我にかえる。

時計に目をやると
4時前を指していた。

『部屋、キレイに
してあったかしら』

折口は性格上部屋を
汚すタイプではない。

『冷蔵庫何が残ってたかしら』

忙しくてもこまめに
自炊するのである程度は
家に常備されている。

『ダメだわ。
あの人が食べるなら
足りそうにないわ。』

いてもたっても
いられなくなって
席を立つ。

上司の前に立つ。

「突然で申し訳ありません。
今日はもう帰宅したいのですが」

「珍しいじゃないか」

上司は驚いた顔をした

「まあいいだろう。
折口はいつも
残業ばかりだしな。
帰れるときに
帰っとかないとな!!」

「ありがとうございます。
お言葉に甘えて。
お先失礼します。」

コートを手に取り
足速に出た。


『まずはスーパーね』



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