突然の電話 <玄折>

こちらは
文庫版の別冊Uより
巻末のショート・ストーリー
『ウェイティング・ハピネス』
の後を妄想したものであります

そちらをご理解の上
お読み戴けると嬉しいです。

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今日は大きな事件もなく
折口は自分のデスクに
ついていた。

そんなとき携帯電話が鳴った。

確認すると
今では仕事のパートナー
あの大男だった。

『珍しいわね。
図書館で何かあったのかしら?』

何を言われても
落ち着いた対応ができるように
ひとつ深呼吸をして
電話に出た。

「もしもし、玄田君?」

「おう。元気か」

「元気よ。どうしたの?」

次の言葉は
予想していた驚きより
はるか上をゆくものだった。


「お前、指のサイズは
まだ変わっていないのか。」


驚きのあまり
言葉が出てこない。

「…おい。」

「き、聞こえてるわ。」

「そうか。で、どうなんだ」

「…知らないわ。
そんなとこ計らないもの」

「そうか」

「でも、
変わるようなこと
してないと思うけど」

「そうだな。
きっと変わっとらんだろう。」

少しの沈黙

いつもなら
気に止めない沈黙も
今日はすごく心地悪い


「お前、今日は何時に終わる」

「そんな大きな事件も
ないから定時には」

「―――今日行ってもいいか」

「ごはんは?」

「食いたい」

「わかった。7時頃にして」

「おうよ」

そう言うと玄田は
電話を切った。


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