02






雨が降らない。なんて、嘘を言ったのは誰だっけ?と、考え始めてから約15分程経過した現在。
わたしは未だに、校舎の昇降口前から動くことが出来なかった。小雨なら、いくらだって歩いて帰ることが出来るが、今日に限ってあいにくの大雨。おまけに、傘を持ってきておらず、びしょびしょに濡れて帰るなんてわたしは嫌だった。


(雨…いつになったら止むんだろ?)


いつもなら、すぐに止むはずの雨が一向に止む気配がない。
本当に、今日はつくづくついてない。


「あれ、名前?お前こんな所で何してんだよ。」


後ろを振り向けば、幼なじみの綱海条介が居た。
彼も帰る所なのだろうか、手にはカバンと傘が握られていた。


「…雨宿り中。」

「雨宿りって、今までずっとか?」


コクリ、一つ頷くと、わたしはいつの間にか開かれた彼の傘の中にいた。


「どうせ雨止むまで帰らねぇつもりだろ?こんな傘でよけりゃ一緒帰ろうぜ!」


またコクリと頷いた。
それを確認すれば、彼はわたしと一緒に歩き出した。一緒の傘に入る。
さすがに、二人も入ると窮屈で肩が少し濡れてしまった。でも、全体的に濡れるより全然良い。


(条介がいて良かった…)


素直にそう思う。
よくよく考えてみれば、これってあいあい傘になるのかな?後で条介に聞いてみよう。
ああ、そんなとこ聞いたら、条介困るかな?
それとも、あっさりと肯定してしまうだろうか?

わたしは、あと10分くらい歩かなければ行けない道のりを彼とのお喋りではなく、どうやって彼に質問しようかということで頭がいっぱいだった。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -