01
「おい、名前、これは新手のイジメか何かなのか?」
え?何のこと?と言わんばかりに、名前は首を傾げた。本当に悪意が無いのなら、名前が天然であることが今日判明した。
オレの目の前には名前が作った手料理のハンバーグ…と、本人は言う。
これが本当にハンバーグだったら、炭になる訳が無い。ああ、誰が作っても、レシピ通りに作れば炭になんかならないはずだ。
「どう見ても炭だろ。」
「違うよ!ハンバーグだよ!」
「正直に言ってみろ?これは何だ?」
「だから、わたしの手作りハンバーグだよ。」
結局、この不気味な物体はハンバーグと言うことになった。不服だけどな。
さぁ、食べて食べて!と言うように名前はキラキラと目を輝かせている。
おまけに、ギルドの連中がさっきからじろじろオレらの方を見ている。
この状況でさすがに食べない訳にはいかなくなった
「っ…い、いただきマス…」
意を決してハンバーグを口に運んだ。
周りの連中の生唾を飲み込む音がギルド中に広がる。
「…う…」
「「「う?」」」
「うまい…」
「本当っ!?良かったー」
その言葉に皆は、嘘だろっ!?やグレイのヤツ、とうとう可笑しくなっちまった!なんて言ってる。
それもそうだ。
見た目が炭のくせに、味はそこら辺にあるレストランなんかより断然上手い。
「それにしても、何で見た目が炭なのに味はすげぇ上手いんだ?」
「それはね、きっと…」
名前は満面の笑みと誰にでも聞こえるような声で言った。
それはつまり愛なのよ
(愛の力ってヤツだよ!)