04
つまんないつまんないつまんないつまんない!
彼が居ないだけで、こんなに毎日が退屈になるとは思わなかった。
彼、椿大介とは、小さい頃から幼なじみで、いつも一緒にいた。社会人になって、別々になるかな?と思ってはみたものの、偶然にも、わたしは彼が所属しているサッカーのクラブチームであるETUの広報に入社してしまった。そう考えると彼とはもう10年以上の付き合いになる。いわゆる、腐れ縁ってヤツ。
そして今日、ETUは達海武と言う新しい監督を迎え、キャンプへと旅立って4日目。
グランドからは、いつもの元気な声が消えいつになくシーンとしていた。なんだか、あの声を聞かないと、仕事をする気が無くなる。
とはいえ、主な仕事は全部有里さんがやってくれるから特にやることが無いし、仕事と言う仕事はあまりしたことが無いんだが…
そう思いながら、自分の部屋鍵を開ける。
と同時に、携帯のバイブが勢いよくなった。それに驚き、バンッと扉を閉めてしまった。
携帯の画面には「椿大介」の文字。その名前を確認するとわたしは発信ボタンをすぐさま押した。
「も、もしもし?」
≪もしもし、名前?≫
良かった〜繋がった。と言う言葉に「やっぱり大介だな」と実感した。
「そりゃ、日本国内なんだから繋がるでしょ」
≪そっか、そうだよな、ははっ≫
「ねぇ、大介。わたし、しばらくあんたが居なくてわかったことがあるんだ」
≪?な、何?≫
「大介。逢いたいよ、今すぐ」
逢いたいよ、いますぐ
(そう言うと、彼はいつものように焦っていた)