「文化祭の出し物を決めたいと思います」


そう黒板の前に北本さんと並んで立つ雫ちゃんは、何もしていなくても綺麗に見えた。

背筋はピンと伸びて足もきちんと揃えられている。文化祭について喋る声は透き通っているのにハキハキとしていて、出会った時より成長してるんだとなんだか親鳥の気持ちになった。


「うちには結城さんと緑間君と高尾君と島田君がいるので顔で売ればいいと思います!」
「さんせー高尾君とか緑間君とか島田君は適当に執事服でも着て歩いてたらいいと思います」
「結城さんは着物着たらいいと思いまーす」
「あんたら自分勝手にいうな!あたしただで無くても部活で弓道着なんだけど」


ドッアハハなんてお気楽な笑い声が起こる。執事服とかねーわ、着にくそー、あ、ちょっとやってみたいっちゃあやってみたいかも。


「あ、コスプレとかいいんじゃね?」
「いいじゃーん!鶴乃ちゃーんナース着てよー」
「…あんたらねぇ」
「あ、俺賛成、俺のコスプレガスマスクマンな」
「島田は顔隠すなよ嫌味か!!」


ははは、やばい超平和じゃん。あーあ、俺いけないとこ踏んだかな、地雷したかなーもー…
三好さんだって悩んでたんだ。いきなり三好さんなりのトラウマに踏み込まれたんだから苦しいだろう。そりゃあそういうもんだ。今しか知らない俺は、昔を聞いては駄目だったのかもしれない「じゃあ多数決をとります」ごめん三好さん。でも三好さんの辛辣な言葉結構深く刺さったよ、うん超痛い「多数決の結果執事メイド喫茶になりました」あー失敗した…うん?


「男子は執事服、女子はメイド服を着用してやります。それでは次に食べ物を決めます」


地雷踏んだ所に核兵器落としてきやがった。



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