体育祭が終わったら文化祭。文化とつくだけで地獄とは正反対だ。嬉しい。


「…楽しそうだね雫ちゃん」
「笑ってないけどな」
「よし島田覚悟しろ殴る」
「いやっぷー」
「うぜええええええ」
「…楽しみだなぁ文化祭」


私は文化祭という物が大好きだ。中学生の時万年一人ぼっちだったけど文化祭の時は客(私)に優しくしてくれた。素晴らしい文化祭。大好き文化祭。ウェルカム文化祭!!嗚呼文化祭!!


「文化祭何やるんだろーね、門田さん」
「なんだろーね島田君」
「くっそ仲良いくっそ…」
「猫カフェがいいね」
「やめろ門田ふざけるなやめろ」
「緑間必死すぎ」

「……ぁ、」


あ、そっか、わかった、なんでこんなに楽しみなのか。
高尾君がいて鶴ちゃんがいて緑間君がいて、島田君もいるんだ。前の席の北本さんも優しいし、私は一人ぼっちじゃないんだ。


「…高尾君」
「ん?なに?」


高尾君の笑顔が眩しい。でも初めてみた時ほど眩しくはない、嫌な意味じゃなくって、もっと別の、ほら、その笑顔は今、眩しいよりも愛しいが勝るんだ。
後、十秒もすれば高尾君は廊下の席へ戻っていって、委員長が教卓にたち文化祭の出し物を決める。それまでにくどいようだけどもう一度だけ彼に言おう。


「高尾君ありがとう」


今までごめんなさいが多かったんだ、次は謝るだけじゃなく高尾君に感謝の気持ちを伝えよう。
一瞬だけ私の頬に触れた高尾君の指先は驚くほど熱かった。

だから、私は何故か北本さんと一緒に文化祭委員になって、さらについうっかりなかった事にしていたのかもしれない。


「雫ちゃん文化祭委員になったんだー美亜もだよ」


彼女の存在を、失礼ながら、忘れていたのだ。



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