「雫ちゃんいつも笑ってて気持ち悪い」


私の顔の筋肉が大変な事になったのは間違いなく幼少期が原因だ。
笑う門には、福来たる。…その言葉をモットーに生きてきた私に美亜ちゃんの台詞は金槌に殴られるより何倍ものダメージをうけた。

その日から“ヘラヘラ笑う気味悪女”とレッテルをはられた。学年一の美少女の美亜ちゃんのいう事は絶対だったのだ。
美亜ちゃんとは小中に高すら一緒になった、私は呪いだと思った。
そして中学にあがった私のレッテルは“ヘラヘラ笑う気味悪女”から“無表情の心無し女”になった。まだその時は、私は笑い方を忘れてはいなかった。

と、してみても、いつかはなんとかなると思った私の考えは予想以上に浅はかな考えで私はぼっち生活三年になった。
秀徳になった時、チャンスだと思った。中学からの人は片手で数えるほどしかいなく勉強を頑張った自分を褒めた。

私は高校デビューをする事にした。
笑って挨拶すれば悪い印象は与えないに違いない。私は早速笑う練習をはじめた。


「……嘘」


なんと顔の筋肉がつった。どういう事だ。三年間のぼっち生活で私の筋肉はガチガチだったのだ、私は絶望を通りすぎて呆れた。顔の筋肉つるのかと呆れた。

だから、彼をみたとき私は泣きたくなったんだ。


「高尾和成でぇっす!仲良くしてな!」


高尾君は天使か何かかと思った。高尾君は笑顔を司る神とかで下界にきて散歩してんのかとも思った。
あんなに楽しそうに笑える高尾君に私は泣きたくなった。ある意味私にとって高尾君は笑顔を司る神だったのかもしれない。

私はやっぱりぼっちになった、女の子からも男の子からも白い目で見られた。自分に自分でちょっとぐらい笑み溢せよ!!って冷静にツッコミたかった。

そして高尾君はさらりと私に第二の爆弾を落とした。


「隣門田ちゃん?俺高尾和成。よろしくな!!」


笑顔が眩しい通りこして太陽だった。むしろ逆光みえた。
隣の席でみる高尾君の笑顔は本当に太陽だった。変態臭いとか言わないでくれ。


「何よんでんの?面白い?」


高尾君の笑顔がみたい。あわよくば私も笑顔になりたい。
必死に返す言葉を探す。笑えるようなやつを。
ぼっち生活が三年+数ヶ月になった私からでた台詞はこうだった。


「お山に布団が、ふっとんだ、おやまー」


本気で死にたくなった。なんで駄洒落なんだ、私。

私は高尾君に友達をつくりたいという願望を叶えてくれるといった高尾君で“スマイルプロジェクト”(高尾君命名)をやる事になった。

はじめに、筋肉つる事覚悟での毎日マッサージ。じょじょに口角をあげる感じで、らしい。
次に、会話能力。ノリよくできるだけ感情を表にだしてである。ちなみにやってみたら高尾君に睨んでると笑顔でいわれた。はじめて高尾君の笑顔が心に刺さった。
最後に、メンタル鍛え。ぼっちメンタルの私を屈強なリア充メンタルにするという物である。

以上の事を、高尾君は時間がある時はずっとスマイルプロジェクトの事を私に気にかけてきた。
もう高尾君が世界一のイケメンといわれて驚かなくなった。

私と高尾君のスマイルプロジェクト、略してスマプロははじまったばかりだ。

はじまったばかりでもう疲れてきてる私は高尾君巻き込んだ罪で張り付けにされても文句はいえない。そう思った。


「おはよう門田ちゃん!」
「おはよう」「……笑顔」







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