そりゃあそうだよね、美亜ちゃんは可愛いもん。

幼稚園のお遊戯会だってお姫様は美亜ちゃんだったし、小学校も中学校もバレンタインは美亜ちゃんの物を皆期待した。
美亜ちゃんはお姫様だ、誰よりも可憐で美しくそこにいく、薔薇より綺麗に華やかに笑う、それが美亜ちゃんだ。
どんなに嫉妬しても彼女みたいになれないし、その嫉妬は汚くて汚くて自分の品を下げると皆がそう思う。

本当は今すぐここで泣きたい、予想できたけどしなかった、別に二人が恋人通しでもいいと思っていた、思いが伝わらなくていい、高尾君が自分に振り向かなくていい、そう思ってた。

でももう我慢するほど気持ちは小さくなかったんだよ。


「……諦めない」
「…え?」
「諦めない、ちゃんと高尾君にふられるまで諦めないよ」


高尾君が好きだし、高尾君に好きだといってもらいたい、高尾君に好きになってほしい、美亜ちゃんじゃなくて私を選んでほしい。
そんな事無理だって知ってる、それでも好きだから諦められない、そんな簡単に彼を好きでいなくなるなんてできない。

せめて、目の前でふられるまでは。


「高尾君が好きだから」


泣きたい、でも泣かない、私は最近泣きすぎた、あんまり泣きすぎると大切な時に泣けないような気がした。

汚くてもいい、私は美亜ちゃんに嫉妬してる、汚い感情を抱いている、どうしようもない感情を抱いている。
それでも私は高尾君が好きで好きで仕方ない、戻れない所まできているなら、その感情に真っ直ぐでいたい。



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