別に悪いなんて思わない、あの子の振り撒く笑顔はたまに胡散臭くもあったから。 恵まれた容姿だったのがよかった。わざとらしく間延びしても美亜の様な容姿ならおっとりの可愛い系に入るから。 男に好かれる反面、女にも媚びを売らなくちゃいけない。美亜ほど可愛くなったら女の妬みが酷くなる、なら媚び売らないとこの汚い世界ではいきていけない。 特に高尾和成が好きではなかった。中々できた奴でそれなりに便利になると思ったから落とそうと思っただけで別に駄目でもなんでもよかった。 世の中こんなに荒んでるんだ、美亜が少し自分中心に考えても大丈夫なぐらいになってる。三流アールピージーゲームみたいにバランスが狂ってもハッピーエンドはあるから大丈夫だ。 そんな中一人だけ異色だと思う子がそこにいた。それが門田雫だった。 頭おかしい馬鹿しかいないこんな世の中でも彼女は馬鹿みたいに真っ直ぐ純粋に生きていた。自分が悪い、他人は悪くない、そんな線のひきかたにどうしようもなく苛ついた。 ただずっと笑わないでいる彼女と、小中高と同じだというのも腹立たしい。 小学生の時、一人のブスにいじめられた。まあ別にどうでもよかったけど雫ちゃんは「やめなよ」と笑顔でいった。 腹立つ、なんで雫ちゃんみたいな子にいわれなきゃならないのか。 私は悪くない、少しぐらいの我が儘でもいいんだよ。 「美亜ちゃん、ちょっといい?」 「…なあに?」 私は世渡りがうまいのよ。 ←|→ ⇒top |