「かっずーは無事頭おかしい状態から復帰したので出てきなさい」
「……本当に前の高尾君?」
「大丈夫ですって」
「……つ、鶴ちゃーん!!」


トイレの個室からやっとでてきた雫があたしに抱きつく。
わからないー!高尾君のしたい事がわからないよー!と大きめの声で喋った。あたしもワカラナイヨー…


「帰ってあの高尾君ならどうしよう…」
「もうなおってるから大丈夫だよ」


教室から大分遠いトイレまできていたため教室までかなりの距離がある。そういう所が雫の可愛い所だと私は思います。


「それにしても新学期はじまったねー」
「そうだね…」
「勉強めんどくさいいいい…」
「……つ、鶴ちゃん、驚かないで聞いてほしんだけど」


廊下を並んで歩いていたら、いきなり俯いている雫がぽつりと呟いた。なにー?と聞いて顔をみてあたしは固まった。
顔を真っ赤に染めた雫が蚊の鳴く声で呟いた。え、雫さん、


「…たかおくんのひくいこえがかっこよくてどうしよう…」
「…」
「もうたかおくんちょくしできないいいい!!うけこたえもできないならたかおくんにきらわれるううう!!」
「…」
「たかおくんにきらわれたくない…」


少ししたったらずに喋った雫はうわーと廊下にしゃがみ込んだ、思わず言葉を無くす、なんてこったい、これは予想していなかった、予想できた内容だというのに!!!!


「鶴ちゃんどうしよう…」
「…色んな意味で嫌われる事は無いから安心して」


好き好きらぶらぶな三年の愛が詰まった頭おかしいかっずーだという事、雫が今までほとんど好意を貰わなかった事、この二人の時点でこうなる事はわかっていただろう結城鶴乃!!


「大丈夫かな…」
「………大丈夫だよ」


追ったら逃げるの鬼ごっこになると!!



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