「雫は間違いなく可愛くなってる」


深いプールでしばらく泳ぎ、上がったと同時に鶴ちゃんはそういった。


「…そうなのかな、いや可愛いのかな」
「そうなのだよ、笑顔、じゃあないけどかなり表情は柔らかいし、無表情じゃもうないよ」
「…確かに、表情は戻ってきたけど」


最近は泣くし悲しむし楽しいし笑顔にはほど遠いけど間違いなく表情のパターンは増えている。
だからとて、と鶴ちゃんをみたら胸を腕にのせふふんと鼻息をはいた。


「雫はあたしの自慢の親友だ!!」


にやりと笑った鶴ちゃんに涙腺が緩み思わず飛び付く、好きだ、かっこいい鶴ちゃん!!高尾君以上のかっこよさだ!!ああでもやっぱ高尾君のほうがかっこいい!!


「鶴ちゃんかっこいい!好き!」
「はっはっはっあたしも大好きだけど皆が百合百合いってきたから離れようかー」


あの子達とは違う、鶴ちゃんは優しくてかっこよくて綺麗で笑顔がとびきり素敵の私の親友だ。

ご飯を食べてプールに入って一度だけバレーもした、私のレシーブは真後ろにとび変な所にいってしまったけど鶴ちゃんが笑ったからいいとする。

帰り道、バスで揺られながら鶴ちゃんは少し悲しそうに微笑んだ。


「だから自分にもっと自身をもっていいんだよ、雫はネガティブすぎるんだよ」
「…そうかな」
「そうだよ」


私にはわからない、他人の事も、自分自身の事も、そんな不器用な私が隠して高尾君が好きでいるのはとても難しい事で、


「でも高尾君を好きでいたいの」
「好きでいいんだよ」


プールの後は体が温かくって優しいけど疲れて重くなる、自然に緩くなった涙腺は目を瞑る事によってなかった事にした。

好きでいたい、



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