メールの作成画面を開く、宛先はかっずー、高尾和成だ。
あの後、少し買い物をして雫とは別れた。相変わらず一度も笑わなかったけど表情は大分柔らかくなっていた。
件名に“夏祭り”、本文は“雫もくる”とだけ書いて送信、スマートフォンよりガラゲーが使い易く、あたしはいまだにガラゲーだ。


「……返信早いっての」


閉じたばっかりだってのにまた開く事になった。メールをみてみると内容は“まじで!!??”だけ。どんだけテンションあがってんだ。
そうだ、雫には浴衣を着せよう。推しに弱い雫なら絶対着てくれるはずだ。

雫はかっずーが好き、それは間違いなく正解だ。
だけど雫は恋にいっていない、雫の中で恋愛、愛が不足した結果、もう何が好きなのかすらもきっとわからなくなっているんだ。
あとの問題点は三好美亜、あたしが見る分には裏がある系だけどそれを突き止めるなんて事はしない、ただ雫とかっずーの邪魔だけはしないで欲しい。

八月から、バスケ部は合宿に練習と休みなんてお盆以外無いといってもおかしくはない。七月の夏祭りがバスケ部の最大イベントである。あたしもバスケ部ほどではないけど、弓道部の練習で夏休みは半分ぐらいは潰れた、後は幼馴染の帰還もあるわけでなかなかしんどい。


「恋愛かー…」


六歳の時から十五歳までしぶとく初恋してる私も私である。いい加減諦めろよという感じが否めないがそんな物はしらない。好きなもんは好きなんだから。

一切手をつけていない夏休みの宿題をなかった事にしながらあたしはベットにダイブした。



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