「あ、ちょっと自販機いってくる」


雫が席をたちパタパタと小走りで廊下にいく、完全に見えなくなり、あたしは静かに箸を置き、ハンバーグを飲み込んだ。片手で顔を覆うかっずーを見て我慢できなくなった。


「ぎゃはははははは!!かっずー口説かれてる!!やっばいうける!!」
「鶴ちゃんうけないで、ちょおあれ計算とかじゃねーだろーなーもう」
「一体何を言ってるのだよ…」


緑間が呆れたように箸をおさめる。おっとあたしも食べないといけない。でもお腹痛い。かっずーが口説かれるとかお腹が痛い。


「中学の時から告白全部断って好きな人一人もいなくてホモ疑惑まで持ち上がったかっずーが雫に口説かれるとか」
「高尾…お前同性愛者だったのか」
「いやちげーから、普通な女の子好きだから、ていうか鶴ちゃんやめてまじやめてください」
「ていうか雫が可愛い、無自覚小悪魔って感じだなあれは。無自覚が一番タチ悪いよ、ざまあかっずー」


あの一点の曇りもない目で見られたら何も言えなくなる。恐るべし雫。これはかっずーを落とすのも時間の問題な様な気がする。


「一体なんの話をしてるのだよ」
「緑間は気にしないで」
「……」


面白い。かっずーが面白い。いつも人を振り回したりサポートするかっずーがこんな恋愛をするなんて親友からしてこんな美味しい事は無い。
どうせアイツは別の学校だし、思う存分雫の事を応援しよう。

はよくっつけ。



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