高尾君へ
高尾和成へ
高尾和成君へ
和成へ
拝啓、高尾和成様へ


「…だめだー…!!」


やってられない。というか感想なんて書けない。言いたい事が文にならない。もうだめだ力尽きたさようなら高尾君、嘘さようならしない。
ベッドでごろごろしながらカレンダーをちらりとみる。三日後にはもう文化祭だ。楽しみだけど私のレシピを認めて貰えるか心配だ。

少しうとうとしはじめた時いきなり携帯が鳴る。思わず肩を盛大に震わせて驚いてしまった。


「もしもし…」
『あ、雫ちゃん?』


うわあ高尾君じゃないか、最悪じゃないか、いや嬉しいんだけど今の私にとってとても苦しい。


『文化祭の準備ってもう大丈夫なの?』
「あ、うん、もうほとんどないよ」
『そっか、絶対無理しちゃだめだからね、ちゃんと言えよ』


う、ぐぅ…思わずきゅぅんっときてしまった。だめだこのままじゃ死んでしまう。


『あ、あとさあ』
「はい…」


胸が苦しい。内臓でそう、息苦しい、多分それぐらいに彼が好きで好きでたまらないんだろう。やめていただきたい。これだからイケメンは…


『文化祭一緒にまわろーね!!』


ふっと頭が真っ白になる。ああああああ忘れてた完全に忘れてた。一緒にまわるとかそんな話になってたんだったどうする私、どうなる私!!


「…うん」


欲望に忠実だな私



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